第2章 『没頭』 第25話

ヤス「そういえば、今週末に追悼あるらしいからテルも来るか?」

テル「追悼って漫画で聞いた事ある追悼暴走かぁ!?」



追悼暴走とは、何らかの事故や抗争などで亡くなってしまった友を追悼するために命日もしくはそれに近い日に関係者などが広範囲から集まり、暴走をするかなり大きなイベントである。
この日は基本的に他の族との抗争は控え、とにかく大集団で友の事を思い出しながらゆっくりと暴走を続けるのである。

というのは建前かもしれないが…。

テルが追悼暴走という言葉を知っていたのは「特攻の拓(ぶっこみのたく)」という漫画を好んで読んでいたからである。


ヤス「そうそう。マサヤ君の追悼や!」

テル「マサヤ君?」

ヤス「こないだ会ったマサミチおるやろ?」

テル「おお総長!」

ヤス「お前の年下やぞ(笑)あいつの兄貴なんやわ」

テル「マサミチって年下やったん!?しかも兄貴って…」

ヤス「年下やっちゅうねん。しかも今さらって感じやで〜」

テル「いやいや、あの風格は年下って言われても信じられへんし」

ヤス「あいつなんか片足で終わらせたるわ」

テル「そんなんどうでもええねん。でも兄貴って亡くなったって事か?」

ヤス「そうそう、なんかもめ事に巻き込まれて刺されたらしいわ」

テル「なんか住んでる世界が全然違う気がするなぁ」



テルはこの時、全く違う世界だという感じがしていたのだ。
しかし自分の最近の行動は限りなくそれに近づいている事をまだ実感していない。
それもそのはず、スケボーばかりしていた日々から考えれば急激に事が
進んでいるからである。


ヤス「とにかく金曜の夜からマサミチとかと合流するで」

テル「単車はどないするん?」

ヤス「明日にでも須磨の後輩からバブを借りてくるわ」

テル「バブ?」

ヤス「HAWKツーや!」

テル「おお!CB250Tってやつか。確かミツオが乗ってるやつや♪」

ヤス「ミツオって誰や?」

テル「特攻の拓に出てくるミツオ…」

ヤス「なんじゃそれ。まぁとにかく明日は練習がてら走るべ」

テル「おっしゃ!なんかワクワクしてきたなぁ」



今まで漫画でしか見たことが無かった世界が目の前で起きている。
その事がとても新鮮でもあり、もっともっと見てみたいという好奇心がどんどん沸いてきているのをテルは分かっていた。

第2章 『没頭』 第24話

テル「めっちゃうまくいったな!」

マサ「おお!なんかうまくいきすぎて気持ち悪いくらいやわ」

ヤス「いざって時はボコボコにして帰ろうと思っとったのにおもんないわ」


何度も頭の中であの時の風景がよみがえり、興奮がおさまらない。

余談だが、原チャを壊された奴はマサの友人の知り合いだったことが後で発覚。
その件については何の音沙汰も無かったが、心配していた尼崎の暴走族との
つながりも無く、結局このまま忘れ去られる事となった。


テル「そういえばマサは家に帰れるんか?」

マサ「さすがに甲子園まで原チャで行ってもらうのもなぁ…」

テル「じゃあ俺んちに泊まったらええやん」

マサ「せやなぁ。マージャンでもするか」



この頃学校内ではマージャンが大ブームであり、毎日のように誰かの家に
集まってはマージャンを明け方までする傾向があった。
もちろんマサも見事にマージャンをしている。


テル「マージャンかぁ…」

マサ「なんや知らんのか?」

テル「原チャと過ごす日々やから機会が無かったなぁ」

ヤス「俺も知らん」

マサ「せめてルールくらいは知っとかなあかんで〜」

テル「そんなもんかねぇ。家にあるかな?」

マサ「あるやろ〜。お前のおばあちゃんはカリスマやねんから」



そうなのである。

我が祖母はマージャンではカリスマ的な強さで有名で、マージャンに行って
いつも小遣いを稼いできてくれる存在だった。(今でもですが…)
そのカリスマが住んでいる家にマージャンセットくらいあるだろうというのがマサの言い分である。


テル「でもマージャンって4人でやるもんやろ?」

マサ「そんなんは何とでもなるんやって」

テル「へ〜。でももう夜中やで」

マサ「誰も起きてへんわな…」

テル「じゃあ今日はルールだけ教えてもらうか」



とそこで、ヤスが急に思い出したかのように切り出した。


ヤス「そういえば、今週末に追悼あるらしいからテルも来るか?」

テル「追悼って漫画で聞いた事ある追悼暴走かぁ!?」

第2章 『没頭』 第23話

無我夢中で原チャまで走り、全員が原チャを囲みながら見合った。



「せ〜の〜!!!」



腹の底から大声を出し、渾身の力を込めて原チャを蹴り落とした。

悲しそうな表情をしながら無残にも原チャは溝へ転がり落ちていく。



ヤス「おっしゃ!早く出発すんぞ!!!」

と原チャの方へ全員で走り始めたその時、奴が遠くから走ってくるのが見える。


テル「うおおおおっ!」

マサ「なかなか焦るやんけ〜!」



奴「お前ら何さらしてくれよんじゃああ!逃げんなコラ!!!」


そもそも、このような状況で普通に待つ奴はいない。

ここでも一足先に原チャに辿り着いたのはヤスだった。


ヤス「天誅(てんちゅう)じゃコラ!!!」


と叫んだ時、テルとマサも原チャにたどりついた。

すでに奴が視界に入る所まで近づいて来ている。


テル「乗ったかぁ??? 」

マサ「ええよ出て!」

ヤス「行くぞ!!!」




ε=ε=ε=ε=ε=(o- -)o



奴「お前ら覚えとけよ〜」


遠くの方で奴が叫んでいるのが少し聞こえた。
もちろん覚えておくよと心で答えておいた。

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第2章 『没頭』 第22話

目線を戻すと同時に、全員が静かにうなずいた。


リベンジ開始だ!!!


一歩踏み出した瞬間、視界には目標の原チャしか入っていなかった。

まるで原チャに吸い込まれるように、前へ前へと足が進む!

心の中で

「うおおおおお!!!」

と叫びながら走ったのを覚えている。


一足先に、ヤスがブロックで原チャの前部を破壊した。


「ガッシャ〜ン!!!」


そしてテルも続いてブロックを原チャの横っ腹に叩き付けた。


「グァシャッ!!!」


ヤスがブロックを床に捨て、事前の打ち合わせ通りブレーキケーブルの切断に掛かり始めたと同時に、テルにアイコンタクトをして合い図を送った。

このような状況でもいたって冷静である。


テルはブロックをかかえたまま、マサが待つ自分達の原チャの方へと走った。


テル「はいよ!!!」

マサ「おっしゃ!!!」



バトンタッチである。


マサは今までのうっ憤を晴らすかのように、ブロックを叩きつけて破壊しまくっている。
ヤスは相変わらず冷静に色々なケーブル類を切断している。
テルは周囲の異変が無いか見渡している。

とその時だった。



「おい!!!お前ら何さらしてくれとんじゃ!!!!!」


あいつだ。



テルを木刀で攻撃していた方だ!!!

マサを攻撃していた方はどうやら家が違うらしい。


さすがに夜中に何かを破壊している大きな音がマンションに響き、異変に気づいたのであろう。


ヤス「出てくるぞ!!!」


とヤスが声を出したと同時に、テルの方をみて


ヤス「来い!」


と怒鳴った。

そうだ。全員で原チャを溝へ蹴落とすという大事なフィナーレをしなければ!
奴が家から出てくる前にフィナーレを完結させなければいけない!!!


無我夢中で原チャまで走り、全員が原チャを囲みながら見合った。



「せ〜の〜!!!」



腹の底から大声を出し、渾身の力を込めて原チャを蹴り落とした。

第23話へ

第2章 『没頭』 第21話

ヤス「どのマンションや?」

テル「この小学校の門の前でやられたんや」

マサ「あかん、見ただけで思い出してイライラする!!!」

テル「まぁまぁ。あのマンションや!」

ヤス「おっしゃ、一回原チャのエンジン止めよか」



さすがに深夜というだけあって周囲は静まり返っている。
あまりの静かさに高鳴る鼓動がリアルに聞こえる。


ヤス「こっからは小さい声でしゃべらなあかんで」


本当にヤスは手馴れているのだろう。かなり冷静だ。


ヤス「それから、何があっても絶対に名前で呼び合ったらあかんぞ」

テル「足が付くからか!?」

ヤス「そうや。これだけは厳守や」

マサ「それは気づかんかったわ」

ヤス「俺を誰やと思ってんねん」



本当にあんたは何物だよ?と突っ込みたかったが我慢した(笑)


ヤス「まず、せ〜の!で俺とテルで原チャにブロックを叩き付ける」

テル「どこでもええの?」

ヤス「そりゃ壊れやすい所や。それは自分で考えてくれ」

テル「ほうほう」

ヤス「その後に俺はブレーキケーブルとかを切るからテルは原チャに一回戻る」

マサ「俺は?」

ヤス「テルが戻ってきたらマサがブロックを受け取ってさらに破壊!!!」

テル「じゃあ交代した時に周囲の監視って事か?」

ヤス「当然や。ケーブルを切り終わったらテルを呼ぶから、大丈夫そうなら来る」

テル「で?」

ヤス「みんなでせーの!で原チャを溝に蹴り落とす!」

マサ「で、一斉に逃走か」

ヤス「そういう事やな。とりあえず通行人とかおらんか確認しよか」



人も車も通る気配がない。


気持ちを落ち着かせるため、空をゆっくりと見上げた。


星が綺麗だ。


深呼吸。


目線を戻すと同時に、全員が静かにうなずいた。


リベンジ開始だ!!!

第22話へ

第2章 『没頭』 第20話

マサ「じゃあこのまま学校付近まで上に上がって」

テル「なんとなく思い出してきたぞ〜」

ヤス「やっぱり分かってへんかったやろ(笑)」

テル「ちゃうって(汗)」



そうこうしている間に学校のすぐ近くまで到着した。


マサ「ここから3分くらいで現場に着くで」

ヤス「ほんなら原チャを破壊する何かを探すか」

テル「何かって?」

ヤス「原チャで運べてその辺に転がってそうな破壊力がある何かや」

マサ「難しいなぁ…」

テル「じゃあコンクリートのブロックとかは?」

ヤス「そんなんどこにあんねん?」

テル「駐車場とかに転がってそうやん」

マサ「この辺に駐車場ってあるかぁ?」

テル「駅の近くにあるやろ」

ヤス「よっしゃ採用!じゃあ駐車場探すぞ」



駅に向かうため少し道を戻り、駐車場を探した。


テル「あそこ駐車場やで!」

マサ「おお。めっちゃ転がってそうやん」

ヤス「2台とも駐車場に入ったらリスク高いから、入り口で見張りしといて」

テル「はいよ〜」



ヤスが一人で駐車場に入って行く。
原チャを降りてゴソゴソしている所を見ると、何かを発見したようだ。


ヤス「おっしゃ行くぞ」

テル「いいやつあったん?」

ヤス「おお。とりあえず二ついただいてきた」

マサ「二つでいいん?」

ヤス「一人は2台の原チャをすぐに発進できる状態にしとかなあかんやろ」

テル「さすが先を読んでますなぁ」

ヤス「下手打ったらめんどくさいから、こういう時こそ冷静にやらな」

マサ「本間に手馴れてるよなぁ…」

テル「ヤスはこんな事ばっかり考えて生きとるんやわ」

ヤス「人聞き悪い事言うなぁ…。ちゃんと女の事も考えてるわ」

マサ「はっはっは!」

テル「そんな事は聞いてへんわ!」


武器?も無事に入手し、ついに現場に向かう。


リベンジまであと20分…

第21話へ

第2章 『没頭』 第19話

テル「そういえばそろそろマサが到着するはずやなぁ」

ヤス「じゃあいつでも出れるようにしとくか。はいタオル」

テル「タオルを顔に巻くんけ?」

ヤス「フルフェイスもいいけど、視界が狭くなってリスク高いからな」

テル「タオル巻いたら怪しさ満開やな(笑)」

ヤス「顔を見られるよりマシや」



電話だ!


テル「着いたかぁ〜」

マサ「おお着いたで。とりあえず阪急に近い方に出たけどええか?」

テル「じゃあロータリーで待っといて。ヤスと迎えにいくわ」

マサ「はいよ」



ヤス「ほな行こか〜」

テル「おっしゃ!!!」



意気揚々とマサが待つ三宮駅へと向かう。
タオルを首に巻きつけ、こみ上げてくる興奮を抑えるのが大変だ。


お前ら覚悟しとけよ!


心の中で何度も何度も叫んだ。


大切な原チャの部品を盗み、自分達が原因であるにも関わらず壊れた原チャに因縁を付けて一方的に暴行。しかも何事も無かったかのようにその場を去っていったのだ。

一方的にやられたのは制服を着ていて、さらに学校近辺であったからに他ならない。


プップ〜♪


テル「マサこっちや!」

マサ「おう!って何でノーヘルやねん!?」

テル「どうせ2ケツ(2人乗り)するんやから追いかけられる事に変わりないやん」

マサ「なんや気合い入っとうやんけ〜」

テル「当たり前やん。マサは普通け?」

マサ「あほか。めちゃめちゃ殺す気満々じゃ!」

テル「あれ?そういえば二人は初対面やんな?」

ヤス「当たり前じゃ」

マサ「ういっす。いっつもテルから噂は聞いとうで」

ヤス「どんな噂しとんねん」

テル「あんな事やこんな事やん」

ヤス「どうせろくでもない事を吹き込んでるやろ」

マサ「間違いないな」

テル「ヤスはかっこよくて強くて憧れの存在で…」

ヤス「嘘付け!」

テル「よう分かったな(笑)まぁ強くてヤンチャって感じや」

マサ「なんかイメージ通りな雰囲気してるわ」

ヤス「ふ〜ん。まぁええわ、こっから芦屋まで遠いから気合いやで」

テル「今日はパッツン(パトカー)が来ても無視するから余裕や」

ヤス「無視かい(笑)最悪の場合、俺がパッツンを誘ってどっか行くから」

テル「俺らはそのまま芦屋に直行って事やな」

ヤス「もしはぐれたら、原チャ回収した芦屋のマクド前で」

テル「はいよ〜」



気合いが入っているとしても、パッツンに追いかけられて無駄な時間を使う余裕が今日はない事をヤスはよく分かっていた。
興奮しながらも、車がほとんど通らない小道をうまく選んで芦屋まで誘導していた。


テル「なんでこんなに道に詳しいねん?」

ヤス「何歳から原チャに乗ってると思ってんねん」

マサ「何歳なん?」

ヤス「小4!」

テル「はいやりすぎ〜」

マサ「次元が違うな…」

ヤス「西宮くらいまでならめっちゃ知ってるで」



ヤスが誘導する道は、ただ知っているだけではなく本当に理想的であった。

人通りがほとんど無く、車も通らないが意外と道幅が広い。
万が一警察と遭遇してもUターンできる余裕があり、さらに曲がり角が多くあるので撒きやすいのだ。


ヤス「もう芦屋に入ったで〜」

テル「じゃあ俺らが分かる場所に出なあかんな」

ヤス「どこやったら分かる?」

マサ「芦屋の駅周辺やったら大体分かるで」

ヤス「おっしゃ。じゃあこの辺から上に曲がるか」

テル「ドンだけ詳しいねん(汗)」



ドンピシャだった…。


ヤス「ここが駅やろ?」

テル「お前すごいなぁ…。なんかワープしたみたいやわ」

ヤス「関心しとらんと次はテルが誘導してや」

テル「どの辺やったっけ?」

マサ「ここずっと上や」

ヤス「テルは方向音痴か(笑)」

テル「ちゃうって(汗)夜って分かりにくいからさぁ…」

マサ「若干方向音痴やな」

テル「うるさいな〜」



リベンジまであと1時間…

第20話へ

第2章 『没頭』 第18話

ヤス「ここです!」

ケン「ここかぁ。ちょっと分かりにくいなぁ」

ヤス「慣れっすよ♪じゃあまた連絡します!」

テル「本間に助かりました!ありがとうございました」

ケン「おう!また今度ゆっくりな」

テル「ういっす!」

ケン「じゃあの」

ヤス「お疲れっした!」



ケンさんと別れ、ヤスの家に入る。


ヤス「とりあえずテルはこのジャージな」

テル「うわ…。ちょっとでかいなぁ」

ヤス「気合いじゃ」

テル「気合い入れても俺の身長はでかくならへんわ」

ヤス「気合い!」

テル「めちゃくちゃ言うなぁ」

ヤス「じゃあ自分の服着ていくんか?」

テル「いや、それは足が付くから遠慮しときます」

ヤス「じゃあ気合いで着るんじゃ」



何事も気合いという表現で乗り切ろうというのも非常に不思議ではあるが、
当時は本当に気合いという表現が多かった。
今考えれば全く意味不明なのだが、何か通じる物があったのだろう。


ヤス「とりあえずマサって子を呼んどいた方がええんちゃう?」

テル「せやなぁ。今から呼んだら結構いい時間になるし電車の時間もあるし」

ヤス「まず合流せんと作戦会議もできへんやろ」

テル「じゃあ呼ぶで」



マサ「もし?」

テル「とりあえず三宮に出て来れる???」

マサ「そりゃあ出れるけど、芦屋までどうやって行くん?」

テル「2ケツ!」

マサ「三宮から〜!?」

テル「気合いじゃ!」

マサ「お前の運転で芦屋まで行く事の方がリベンジよりよっぽど…」

テル「そこから先は言ったらあかん(笑)」

マサ「まぁそれは冗談やけど、とりあえず行ったらええんやな?」

テル「おう。あんまり普段着るような服とか着てきたらあかんで」

マサ「せやな。その辺は適当に考えて行くわ」

テル「じゃあ駅まで迎えに行くから、着くちょっと前くらいに電話してや」

マサ「はいよ」



あと1時間ほどで役者は揃う。

それにいてもずっと気になっている事があった。
治安がいいはずの芦屋の山側にどうしてあのような輩がいたのだろうか…。


テル「そういえばさぁ、芦屋って何かの族がおるん?」

ヤス「芦屋?いやぁ、あんまり聞いた事ないけどなぁ」

テル「じゃああいつらは一体何なんやろか」

ヤス「西宮とかアマ(尼崎の通称)とつるんでるんちゃうかぁ」

テル「アマやったらややこい(ややこしい)よなぁ」

ヤス「よう知っとうやん。アマともめたらめっちゃ面倒くさいで〜」

テル「マサの彼女がアマの何とかっていう族の頭の元カノ(彼女)らしいねん」

ヤス「またややこしい女と引っ付いたなぁ…」

テル「たまたまやけどな ( ̄∇ ̄;)」

ヤス「何となくどこの族が分かるわ。アマと言えばあそこやろ」

テル「めっちゃ有名なん?」

ヤス「めっちゃ有名…」

テル「まさかそこと関係あるって事ないよなぁ」

ヤス「あるかも知れんけど、俺らの正体さえバレんかったら関係ない」

テル「まぁそらそうやけど」

ヤス「気合いじゃ!」



リベンジまであと3時間…

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第2章 『没頭』 第17話

ケン「次はヤスの家か?」

ヤス「お願いしまっす!」

ケン「三宮のどの辺や?」

ヤス「山幹をず〜っと行って…」



今のうちに頭を整理しておこう。

ヤスの家で決行用の服に着替えるとして、今は夜の9時。
決行は夜中の2時くらいに決めているから、12時くらいにマサを呼べばいいか。


テル「とりあえず12時位にマサを呼ぶで」

ヤス「マサって一緒にやられた子?」

テル「そうそう。甲子園に住んでるから三宮まで1時間もかからんはず」

ヤス「三宮に呼んでも芦屋までどうやって行くん?」

テル「俺の原チャで2ケツ!」

ヤス「気合いやなぁ。結構遠いで〜」

テル「追いかけられても関係ない。今日の俺は切れとうし」

ヤス「なかなか面白い事になりそうやんけ」



決行までの段取りは決まってきたが、肝心のリベンジの内容がまだ白紙だ。


テル「どうやって原チャつぶそっか?」

ヤス「とりあえず外装を破壊!」

テル「そんなん普通すぎるわ」

ヤス「次にブレーキケーブルを切って、原チャを溝に蹴り落とす」

テル「なんかもっと激しいの無いのん?」

ヤス「あほか。長くても10秒くらいで終わらせんと面倒な事になるで」

テル「そうやなぁ…」

ヤス「ちなみに爆発系はやらんほうがええで。ポリも本腰いれて捜査するし」

テル「それはますます面倒やなぁ。じゃあとりあえずさっきの流れで行くかぁ」

ヤス「外装がボロボロになるだけでもかなりのダメージやと思うで」

テル「まぁな〜。でもまた誰かの奴盗んで付けるであいつら」

ヤス「だからブレーキのケーブルも切るんやんけ」

テル「確かに交換するのはかなり面倒くさそうやしなぁ」

ヤス「とどめの溝落としも精神的に効くはずやで」

テル「俺やったら絶句するやろうなぁ」

ヤス「じゃあ溝落としは3人でせ〜の!で蹴るか(笑)」

テル「それ採用!!!」



ケン「お〜いどの辺や?」

ヤス「そこ左っす!で一つ目の角を左でお願いします」

ケン「これを左であの角を左〜」



リベンジまであと4時間…


第18話へ

第2章 『没頭』 第16話

テル「そこを右っす!」

ケン「ここ右な」

テル「あの突き当りのちょっと手前っす」

ケン「はいよ〜」

ヤス「そろそろ電話しとかなあかんやろ?」

テル「せやな。ちょっと電話して出てきてもらうか」



真美「着いた〜?」

テル「おお。あと30秒くらいで着くで」

真美「外に出た方がいいの?」

テル「そうしてくれると助かる!」

真美「じゃあ外に出るわ〜」



ヤス「とりあえず原チャを置くだけ置いて、俺の家いくで」

テル「服も取りにいかなあかんもんな」

ケン「お〜い、ここでいいんか?」

テル「ういっす!バッチリです♪」



すでに真美が外で待っていた。


ケン&ヤス「せ〜の!!!」

二人で軽々と原チャを持ち上げ、車から降ろした。


真美「きゃあ!ちょっとめっちゃ顔も腫れてるやん…」

テル「そう?顔面直撃はかなり避けたつもりやねんけどなぁ」

真美「体は痛くないん?」

テル「痛すぎやで。ほら見てみ?」



上半身の服をめくり、ミミズ腫れを見せる。


真美「うわ痛い〜 o(;>△<)O」

テル「どんどん腫れがひどくなってきたなぁ」

ヤス「めっちゃやられてるやんけ」

ケン「うわ〜。本間に痛そうやなぁ」

テル「大丈夫ですよ。今からバッチリリベンジしてきますから!!!」

真美「リベンジ行くん!?」

テル「当たり前やん!原チャもやられてるから絶対に許さん」

真美「男ってほんまに争いが好きやなぁ…」

ヤス「早く行くぞ。なんやかんやですぐに夜中になるで」

テル「せやな。とりあえず行ってくるわ。また明日電話する!」

真美「はいはい」

ケン「次はヤスの家か?」

ヤス「お願いしまっす!」



リベンジまであと5時間…。


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