第3章 『暴走』 第31話

テル「そういえば新しい彼女、美香やっけ? 見に来てへんの???」

ヤス「六甲あたりで見てるんちゃうか〜」

テル「おっ♪ もうすぐやん」

ヤス「真美と失恋したばっかのくせに、人の女の事気にしてどないすんねん」

テル「うわっ!!! 今日は忘れとったのに思い出させやがって…」

ヤス「どっかにええ女おらんかのぉ〜」


ちくしょう。


テル「でもすぐに気付くもんかねぇ?」

ヤス「たぶん何人かで派手な格好しておるから分かると思うわ」

テル「あ〜、よくあるジャージ系か」

ヤス「どこおってもすぐ分かるやつな(笑)」


とはいえ、ギャラリーも派手なジャージを着ている奴が多い。


テル「なんか43と違って、ここでパッツンに追われても余裕っぽいなぁ」

ヤス「おっ、何となく分かってきてるやん。2車線しかないし歩道あるしな」

テル「しかもこれだけ台数おったらパッツンは絶対に前に出れへんやろ」

ヤス「ま、そういうことやな。おっ?」

テル「ん?」

ヤス「たぶんあの交差点におる3人組やわ」

テル「ピンク、赤、白…。あれか(笑)」

ヤス「あのピンクが美香や」

テル「めっちゃ手振ってるし!?」


美香「ヤスく〜ん!」


目の前を通り過ぎる時に無言でヤスが手を上げる。テルも便乗して手を上げる。


テル「なんか…めちゃ美人ちゃう?(笑)」

ヤス「誰の彼女やと思ってんねん」

テル「あ〜、余計むかつく」

ヤス「そういえば他の二人、彼氏おらんはずやで」

テル「そんなん見てる余裕ないわ…」
テル「なんだかんだ、ちゃっかり彼女作ってるもんな〜」

ヤス「当たり前やんけ。どっかのアホみたいにいつまでも引きずるとかないし」

テル「ちっ (ーー;)」

ヤス「暴走の後、あいつらと合流するからお前も来るやろ?」

テル「来るやろっていうか、半強制やろ?(笑)」

ヤス「贅沢なやつやなぁ。彼氏おらん女子の所に連れて行ってやろうと言ってるのに感謝せんかい」

テル「ああそうですね」

ヤス「これで解散!みたいなんじゃなくて、徐々にみんな散っていくから、様子見て俺らも散るで」

テル「あ、そういう感じなんや」

ヤス「こんだけ騒がしくしといて、一か所に単車も停めて集まるとか危なすぎるわ」

テル「確かに…」

 

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第3章 『暴走』 第32話

ヤス「暴走の後、あいつらと合流するからお前も来るやろ?」

テル「来るやろっていうか、半強制やろ?(笑)」

ヤス「贅沢なやつやなぁ。彼氏おらん女子の所に連れて行ってやろうと言ってるのに感謝せんかい」

テル「ああそうですね」

ヤス「これで解散!みたいなんじゃなくて、徐々にみんな散っていくから、様子見て俺らも散るで」

テル「あ、そういう感じなんや」

ヤス「こんだけ騒がしくしといて、一か所に単車も停めて集まるとか危なすぎるわ」

テル「確かに…」


当時は携帯電話もほとんど普及しておらず、どういう連絡手段を持ってこのようなイベントがあるということを周知していたのだろうかと、当時を振り返りながらふと感じる。

待ち合わせも含めてだが、どことなく「いつもの場所」に行けば誰かいる。そういった暗黙の了解が主な交流の手段だったのだろう。

自らアンテナを立てていないと情報は全く入って来なかった分、第三者との交流や情報交換に関しては重視されていたし、知識を得るためには先輩や先生方からの教えが今よりも圧倒的に重視されていたと感じる。

今でこそグーグル先生に聞けば知りえない情報など無いと言えるほど色々溢れているとも感じるが、入手した情報の確からしさをジャッジできるスキルを合わせて身に付ける必要があるのは言うまでもない。


テル「じゃあ生田(三宮手前)あたりで抜けたら、六甲に戻りやすいやん」

ヤス「おお、そのつもりや」

テル「で、どこで待ち合わせしてんの?」

ヤス「何時に解散するかも分からんのに、そんなん無いわ」

テル「まぁそやけど…」

ヤス「こういう時はいつもの場所や」

テル「いつもの場所…ね(笑)」

ヤス「あいつらどこ行くやろか」

テル「分かってないやんけ!(笑)」


たった一晩の出来事であったが、あわや逮捕されていたかもしれない状況に追い込まれた直後とは思えないほど、天国と地獄が交錯するような目まぐるしい一夜だ。

漫画かと思うような数々の単車、どうやってるんだ?と思うような見事なアクセルミュージック。
そもそも、こんなに一杯の単車は普段どこに置いてあるの?という率直な疑問もある。

柵を乗り越えて隠れていた時は、正直言って生きた心地が無かった。
あっという間に集団に追いついた時はヤスの凄さを改めて実感したが、次はそんなヤスの彼女とその友達との合流に向けて動き始めている。

う〜ん、不思議だ。

学校の同級生はとっくに寝ているんだろうなぁ。
きっと暴走中の音がうるさくてイライラしている友人もいるだろう。
でもまさか、その中に俺がいるなんて夢にも思ってないだろう。

まだ終わってはいないが、今夜経験したことを振り返ってみる。


テル「なんか今日一日で色々あったなぁ…」

ヤス「おお、なんか分からんけどこういうのワクワクするやろ」

テル「普通に生きてて経験する密度を遥かに超えてるよな(笑)」

ヤス「ま、俺は暴走族じゃなくて走り屋やから毎週はいらんけど、たまにはええよな」

テル「周りからみたら立派な暴走族ですけど?」

ヤス「は〜?こんな真面目な人間やのに、あいつらと一緒にすんな」

テル「うん、普通はその違いなんて分からない」

ヤス「ほな、悪い人たちに別れを告げて、真面目な俺らはちゃっちゃと六甲戻ろか〜」

 

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第3章 『暴走』 第33話

生田に着く前からパラパラと単車が抜け始めた。
抜けると言う事は、その付近に単車を保管しているのだろうが、永らく神戸に住んでいても気が付いたことがない。
意識していなかったからなのか、原チャを乗り始めてまだ日が浅いからなのか。
いずれにしても今日の衝撃的な体験は一生忘れないだろうと確信した。

生田の手前で地元の仲間たちも抜け始めたので、便乗して抜ける。
今日の主役とも言えるマサミチとも目があったので何か会話するかと思ったがそうでもない。
暗黙の了解なのか、別れの際はあまり会話はせずに軽く単車を吹かしながら手を上げる程度らしい。
一つの大きなイベントをやり遂げた同士とでも言うのか、確かに言葉なんかいらない!と思わされる何かがあった。

 

テル「で、六甲方面にすんの?」

ヤス「そやな。他にいいとこ思いつかへんし、あいつら足無いし六甲から動けへんやろ」

テル「言うてる俺も送ってもらわな帰られへん」

ヤス「あ〜学校あるんか。明日行くん?」

テル「そりゃそうやろ!(笑)」

ヤス「まじめやなぁ」

テル「普通や!」

ヤス「六甲やったら家近いからええやろ」

 

確かに六甲からテルの実家までは5分程しか離れていないが、今から例の彼女とその友達二人と合流して特に得るものも無いであろう話しを冬の寒空の下で…と考えただけで気が重い。

うん。言うなら今だな。


テル「ヤス〜、俺先に帰るわ〜」

ヤス「はぁ?ほんまに言ってんの???」

テル「おお。すでに体キンキンに冷え切ってるしさ〜」

ヤス「確かに寒いなぁ。ほんなら俺も帰ろっかな〜」

テル「いやいや、ヤスは行ったらな彼女困るやろ?」

ヤス「ん〜、何とかなるやろ」

テル「好きにしてくれてもええけどさぁ…」


自分が言いだした事でまだ知らない三人がとても困ってしまうことに少しの罪悪感はあったが、気力も体力もすでに限界だった。


ヤス「ほなテルの家に直接行くで〜」

テル「よろしゅう」


いざ家に帰ると決まった途端、張りつめていた緊張感が解けたのか、急に寒さが身を貫くように痛く感じる。
しかし頭の中には妙に心地よかったあの爆音と排ガスの臭い、何度も最悪の事態が頭をよぎった橋の上でのパッツンとのバトル、草むらに隠れていた時の感情などが走馬灯のように駆け巡り、完全に興奮状態だった。


ヤス「家の前にある坂の上からエンジン切って下っていく感じでええか?」

テル「全然OK!」


テルの実家の前にある坂の真上からエンジンを切り、真っ暗でシ〜ンと静まり返った道を下っていく。


無事に帰ってきたんだ。


ヤス「ほなまた明日」

テル「学校終わったら連絡するわ〜」


実家の壁を登り、自分の部屋の窓から中に入る。
耳鳴りが明確に聞こえるほど静まり返っているが、風が無い分とても温かく感じた。

髪の毛、服は排ガスの臭いが染み付いている。
取りあえず部屋中がこの臭いで充満しそうなので、コッソリと洗濯機へ服を押しこんだ。
今からシャワーを浴びるのはさらに不自然なので、取りあえず朝まで我慢だ。

スウェットに着替え、布団にもぐりこんだ。

冷え切った体が溶けていくような感覚。
しかし興奮が収まっていないからか、不思議と眠気は無い。

目を閉じてもあの光景が延々と繰り返される。
取りあえず目覚ましをONにして…ってあと3時間か。
また今日も授業中爆睡だな。
43の近くに住んでいる奴いたかな。
まさか俺があの爆音の中にいたなんて思ってもいないだろう。

あ〜布団ってなんでこんなに気持ちいいんだろう…zzz

 

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