第3章 『暴走』 第18話

JUGEMテーマ:車/バイク

マサミチ「今詳しい人らが集まってクラッチ分解してるわ」

テル「はい〜???」

ヤス「それなりにバイク触れんかったら単車乗りちゃうで」

テル「この状況で作業するとか…。めっちゃ見てみたい♪」

マサミチ「別に見てきたらええやん(笑)」

テル「ヤス行こっ!!!」

ヤスの返事を待たずして、テルは早々に公園の奥へと小走りで向かった。

この頃にはすでにバイクの乗る事とは別に、整備という事に関する興味が人並み以上に沸いていたのである。
もちろんエンジンの中身などは全く未知の世界であり、さらにクラッチがどのような構造になっているのかも分からない。
その未知の世界に踏み込んでいる人が近くにいるというのだから居ても立ってもいられなかったのである。

クラッチの作業を公園の奥でやっているという話しを聞いたテルは、公園の街灯の下で6人ほどが1台の単車を囲んでいる姿を見つけた。

おそるおそる近づいてみると、何やら声が聞こえてきた。


???「どうせ半クラやりすぎてクラッチ板無くなったんやろ」

???「多分な。もうすぐ見えるわ」

???「おい、ちょっと傾いてるからちゃんとまっすぐに起こしとかんかい」

???「すいません…」


顔は見えないが、体格的にケンタ君らしき人もいるようだ。
余計に近づきにくいが、ここは勇気を出して…


ヤス「おいテル!お前あんまり近づいて邪魔すんなよ」

テル「ビックリした〜 w( ̄▽ ̄;)w」

マサミチ「まぁええやん、単車好きなんはみんな一緒やから」

テル「ん〜。ちょっと離れた所から見とくわ(笑)」


???「よっしゃ外れたで〜」

ケンタ「うわっ、お前これはやりすぎや」

???「ツルツルや(笑)」


すぐ近くで見ていないのでよく分からないが、なにか茶色の円盤のような物が数枚取り外されている。これがクラッチ板?というやつなのだろうか。

マサミチ「あれがクラッチ板って言ってな、滑り止めみたいなやつが付いてるんやわ」

テル「ほうほう」

マサミチ「で、半クラしたらあれが無くなっていくから、無くなったら走れんくなるねん」

テル「へ〜、クラッチってあんな感じか〜」

ヤス「俺も初めてみた!」

テル「えっ、何か意外やなw」

ヤス「俺がいじるのは原チャ専門や!!!」

マサミチ「そんな専門いらんやろ」


ケンタ「お前ら聞け〜!!!この単車、今日はあかんからここに置いてく。で、そろそろ出るから準備しとけよ」


「はいよ〜」


テル「やっぱり直らんのか!?」

マサミチ「新しいクラッチを、部品で暴走に持ってくるやつなんかおらんわ」

テル「あ、そゆことね…(笑)」

ヤス「取りあえず手押しで外まで出ると思うから、遅れんように原チャまで戻るで」

第3章 『暴走』 第17話

JUGEMテーマ:車/バイク

ヤス「ほなエンジン切るで」

テル「あいよっ」


エンジンを切ってからもしばらく、惰性で真っ暗な住宅街を駆け抜けていく。

「シュ〜…」

タイヤが転がる音だけが耳に入ってくる。

近くに大勢の仲間と単車が待機しているはずだが、不気味なほど辺りは静けさに覆われている。


ヤス「降りて押すぞっ」

テル「よっしゃ」


必要以上の足音を立てず、なおかつ素早く。
いつどこで待機車両が待ち伏せているか分からない。
路駐している車があるたび、立ち止まって様子を伺う。


ヤス「あの車なんや?中に人おるなぁ」

テル「ん〜。カップルっぽいけどなぁ」

ヤス「ぽいな…」


いつになくヤスが慎重という事は、やはり警戒する必要性があるのだろう。
異常な程の静けさが、余計に緊張感を誘う。


ヤス「見えた。あそこや」

テル「あの公園か!」

ヤス「油断すんなよ」


後ろの状況も警戒しながら、公園に近づいて行く。
公園外壁に沿って、数台の路駐がいるようだ。


ヤス「公園の中に入ってから入り口塞がれたら全滅やからな」

テル「想像しただけで終わりなんが分かるわ」

ヤス「あれ見えるか?」

テル「ん?」


公園の奥に、数台の単車が止まっているのが見える。


ヤス「誰かおるから大丈夫やな」

テル「そんなもんか?」

ヤス「みんな警戒の仕方は知ってるからな」


公園の入り口に辿り着いた所で、公園奥に潜んでいた数人がこっちに気付いたようだ。


ヤス「多分、向こうからは俺らが誰か分かってないで」

テル「あれ誰や!?って感じか」

ヤス「誰か知ってる人おるはずやから、取りあえず行こか」


あえて公園の真ん中を通らず、端を通って公園の奥に向かう。
その行動を見て関係者だと悟ったのか、奥に潜んでいた数人は警戒を解いたようだ。


ヤス「あ、ケンタ君っぽい人もおるなぁ」

テル「お前よく見えるなぁ(笑)全然見えへんし…」

ヤス「視力だけは自信あんねん」


???「誰かと思ったらヤスやんけ」

テル「あっ、マサミチやん♪」

マサミチ「おうおう。お前らおっそいからパクられたか思ったわ」

ヤス「原チャで捕まるわけないやんけ」

マサミチ「結構時間も経ってるし、そろそろ再開って言っとったで」

ヤス「やっぱりケンタくんもおるんか」

マサミチ「もっと奥行ったらみんなおるけど、1台調子悪いんやわ」

テル「調子悪いのに参加するん?」

マサミチ「いや、今詳しい人らが集まってクラッチ分解してるわ」

テル「はい〜???」

ヤス「それなりにバイク触れんかったら単車乗りちゃうで」

テル「この状況で作業するとか…。めっちゃ見てみたい♪」

マサミチ「別に見てきたらええやん(笑)」

テル「ヤス行こっ!!!」

第3章 『暴走』 第16話

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ヤス「どうせいつものとこで撒くはずやから、もうちょっと邪魔しとこか」

テル「うわぁ、なんかめっちゃ不安になるなぁ…」


ヤスの言った通り、400mほど離れた先で単車軍団が同じ所で順番に左折を開始した。

ヤス「こんだけ時間稼げたら、俺らも撒きに入って大丈夫やろ」

テル「ん?ん???」

ヤス「ほな撒くでっ!!!」

テル「うわっ!」


ガリガリガリ…


今まで味わった事がないような急激な倒し込みだった。
サイドスタンドが路面と接触し、火花が出ているのが分かる。


テル「あかんって、これ以上倒したらこける〜!!!」


思わず声に出してしまったが、ヤスは平気な顔だ。

3台中の1台がヤスとテルが乗っている原チャを追跡してきた。
とは言っても、ヤスが急激に左折した場所は住宅街である。


ヤス「わざわざ来んでもええのに(笑)」

テル「あいつら、こんな入り組んだとこで捕まえれるとでも思ってるんかぁ?」

ヤス「でも暴走の時はそこら中に待機車両がおるから油断したらあかんねん」

テル「まぁあんだけ派手にやってたら色々動いてるわなぁ」

ヤス「だから何があっても行き止まりにだけは入ったらあかん」

テル「何でもノウハウがあるんやな(笑)」

ヤス「適当に撒いてから、多分みんなが集合してる公園行くで」

テル「暗黙のルールですか…」


宣言通り、住宅街の角をいくつか曲がっているだけであっという間にパトカーはヤス達を見失った。


ヤス「まだ赤色灯が壁に写ってるのが見えてるから近くにおるな」

テル「あえて遠回りして行ったらいいんちゃうん?」

ヤス「おっ。なんか分かってきたやんけ(笑)」

テル「そらこれだけ色々考え方を見せられたら…なぁ(笑)」


ヤスは目的の公園とは逆方向と思われる方に進路を進め、10分ほど走行してから絶妙な具合に方向転換していた。

テル「そういえばさっきは西向きやったのに、いつの間にか東になってるやん(笑)」

ヤス「誰やと思ってんねん」

テル「お前の頭の中は完全に地図ができてるなぁ…」

ヤス「神戸の下道は全部頭に入ってるっちゅうねん」

テル「それは言いすぎやろ〜」

ヤス「おお、言いすぎや(笑)」

ヤス「そういえばもうすぐしたらエンジン切って近づくからな。もし何かあったらすぐエンジン掛けるから飛び乗れよ。遅かったら置いてくぞ」

テル「置いていかれたらたまらんなぁ…」

ヤス「だから油断すんなってことや。もし集合場所がバレてたら一気にUターンせなやばいからな」

テル「確かに全滅のコース…やな」

ヤス「ほなエンジン切るで」

テル「あいよっ」

第3章 『暴走』 第15話

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P「おい!お前らええかげんにせ〜よコラ!!!」


テル「うわ、なんか急に興奮しはじめたで(笑)」

ヤス「おお、いつもの事や。そろそろ間にぶっこんでくると思うから、後ろ下がってケツ持ち準備しよか」

テル「ようやく原チャ部隊の出番って事やな♪」


警察側がついに本領発揮しそうな雰囲気になったと同時に、他の原チャ部隊も息を合わせたかのように後方へとゆっくりと下がっていく。
どこかで打ち合わせをしていた訳でもないが、それぞれが何をすればよいのかしっかりと認識している事がすぐに分かった。


ヤス「ええか、間を抜けられるとめっちゃ面倒な事になるから遊びながらも死守やで」

テル「後ろに座ってる俺は何かする事あるん?」

ヤス「とりあえず足とか出して邪魔しといたらええわ(笑) でも絶対に落ちんなよ」

テル「りょ〜かいっ」


パトカーが車体を左右に振りながらなんとか間を抜けようと画策しているのが分かる。

隙を見てアクセルを踏んで近づいてきたかと思うと間近の原チャ部隊がすぐに近づいて阻止をし、パトカーは仕方なく急ブレーキを踏むといった感じだ。

傍観者だったのも束の間。あっという間に最後尾まで下がったと思ったら、ヤスに何かのスイッチが入ったかのような運転に切り替わった。


ヤス「絶対に落ちんなよ!」


その言葉の真意がすぐに理解できるほど、パトカーの動きに追従して瞬間的に原チャを倒しこむ角度が尋常ではない。


テル「う〜わ…。こんなん、下手に足出したらほんまに落ちるわ(笑)」

ヤス「だから落ちへん事が最低レベルって事や!」


右折レーンも含めると、交差点付近では一時的に4車線にまで広がる。パトカーからすればケツ持ち部隊を振り切って前に出るチャンスという事になるわけで、ここぞとばかりに左右に揺さぶりながら一気に波状攻撃を仕掛けてくる。


テル「うおお。あいつら、かなりテクってるなぁ」

ヤス「それがあいつらの仕事やからな(笑)」


ヴァンヴァヴァヴォ〜ヴァヴァヴォ〜ヴァヴァ…


ケツ持ち部隊がパトカーを阻止している間も、他の単車軍団は相変わらず爆音を撒き散らし続けている。


テル「あ…。対向車線から覆面が来たで…」

ヤス「ほんまや。今日の感じやったら、3台目はちょっときっついなぁ…」


その時だった。


集団の真ん中あたりにいたケンタ君がおもむろに単車の上に立ち、集団に向かって腕を大きく回した。

それに気付いた人達も順番に腕を回して意思疎通を図ったかと思うと、単車軍団は一気にアクセル全開状態で疾走しはじめた。


テル「あっ…。ヤス!みんな一気に加速しはじめたで!!!」

ヤス「おお分かっとる。一回、パッツンを撒くって事や」

そうこうしている間に、単車軍団との距離がみるみる離れていく。と同時に、3台目の覆面パトカーが合流して戦況は一気に厳しい状態となった。


ヤス「どうせいつものとこで撒くはずやから、もうちょっと邪魔しとこか」

テル「うわぁ、なんかめっちゃ不安になるなぁ…」


ヤスの言った通り、400mほど離れた先で単車軍団が同じ所で順番に左折を開始した。

ヤス「こんだけ時間稼げたら、俺らも撒きに入って大丈夫やろ」

テル「ん?ん???」

ヤス「ほな撒くでっ!!!」

第3章 『暴走』 第14話

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ヤス「ん? ってお前ちょっとまて!!! あの人は…」


ヤスの制止はテルの耳には届かず、すでにテルは右手人差し指を下から上に向かって揺らしながら煽りはじめていた。


ヴァンヴァンヴァンヴァヴァ…


テル「おっしゃ来た〜♪ ┏( ̄▼ ̄)┛」

ヤス「あかん、お前絶対に死んだ…」


??「はっは〜!!!お前ら、楽しんでるかぁ〜♪」

テル「めっちゃ楽しいっす!!!」

ヤス「あ、ありがとうございます…」


ん?


テル「あれ?もしかしてやばい人やった…?」

ヤス「やばいも何もお前…キレたら誰も止められへん鬼のコウイチ君やんけ」

テル「うそ〜?めっちゃ小柄で笑顔も優しそうやん♪」

ヤス「それが怖いんじゃ。なんかちょっと前の暴走で変な奴が車で絡んできた時に笑顔のまま運転手を引きずり降ろして単車で轢きまくって…」

テル「えええ!?」

ヤス「さらにその後、笑顔のままプスプス…とか」

テル「あ…あかん人やな (lll゚Д゚)」

ヤス「ここにおる人らは、見た目に騙されたらあかんで(笑)」

テル「まじか…。笑顔のままプスプスとか…」

ヤス「よっぽどの事がなかったら身内には手は出さへんと思うけど、何がスイッチになるか誰も分からんから」

テル「そこそこの距離感を保っとく(笑)」


その時だった。


「グオオオオオオオン!!!」


テル「狩り!?」

ヤス「いや、あのグロリアはさっきのコウイチくんと仲がいいサトル君や」

テル「え?車も参加するん???」

ヤス「結構多いで〜。しれ〜っとパッツンの邪魔したりするしなぁ」

テル「あ、信号ちゃんと停まってる(笑)」

ヤス「いざって言う時以外はグレーゾーンで参加しとかな単車に比べて逃げにくいからな」

テル「あ、そういう所はちゃんとしてるんや」

ヤス「今だけな(笑)ほら、もう角に赤色隠して待ち伏せしてるやつらおるやろ?」

テル「ほんまや…。早速のご登場ですか」

ヤス「さぁこっからがはじまりや ( ̄ー+ ̄)」


43号線を完全に占領している大軍団は、交差点の影に隠れているパトカーを横目に何事も無かったかのようにゆっくりと通り過ぎる。

車内を見てみると、何やら無線で他の待伏せ班と連絡を取り合っているようにも見える。
さらに後部座席にまで警官が乗っているのだろうか、いつも見かけるパトカーとは様子が違っている。

そして全数がパトカーの横を通り過ぎたと同時に、ゆっくりと赤色燈を回転させながらパトカー(P)が2台背面にピッタリと張り付いた。


P「危ないから止まりなさい」


いつもの拡声器による声掛けだが、じゃあ止まるよ…なんて奴は誰一人としているはずもなく、完全に無視である。


P「おい!お前らええかげんにせ〜よコラ!!!」


テル「うわ、なんか急に興奮しはじめたで(笑)」

ヤス「おお、いつもの事や。そろそろ間にぶっこんでくると思うから、後ろ下がってケツ持ち準備しよか」

テル「ようやく原チャ部隊の出番って事やな♪」

第3章 『暴走』 第13話

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ヴォンッ!!! ヴァンヴァンッ!!!

一斉に単車が爆音と共にエンジンを始動させた。
10台、20台…軽く50台はこの時点で確認できる。

ヤス「ほな行こか〜」

ついに長い夜が始まる!

ヤス「ちゃんとタオル巻いとけよ。一回道路に出たらどこで撮影されるか分からんから」

テル「そうやな。なんか空気に飲まれてタオルの事忘れとったわ…。こんな感じか?」

ヤス「おお、上出来や。それからもし原チャを捨てて走って逃げるような事があったとしても、俺の名前を呼ぶなよ。たったそれだけでも重要情報になるからな」

テル「ほうほう。なかなか細かい所に気がつくなぁ」

ヤス「基本じゃ!まぁそんな事にはならへんと思うけどな」


コンビニ前から続々と単車が爆音とともに出てくる様子は凄い迫力で、まるで怒りに満ちた竜が道路脇から出てきたようにも見える。

無論、竜の登場によって43号線を走行していた自動車達は急停車するしかなく、みるみる渋滞が発生している。
誰もこれだけの単車が道路脇から出てくるとは想像していなかっただろう。
その中の後ろの方にヤスとテルが乗っている原チャも含まれていた。

道路に合流すると、あっという間に竜は左右へとまんべんなく散り、大きな集団となって43号線を占領していた。

全車線を大量の単車が埋め尽くしているため、後方の一般車両は全く追い抜く事ができない状況である。しかも速度は約30km/hほど。完全に迷惑以外の何物でもない。


ビャンビャンビャンッ!ビャビャビャン…


ヤス「おっ、早速スネーク管の音を拝めるやんけ♪」

テル「うおお。ほんまに蛇みたいっていうか独特やなぁ〜」


ヴォンヴォヴォヴォンヴォンヴォンヴォヴォヴォンヴォン…


ヤス「おっ、こないだ乗ったバブや。っていうかあの人ばりうまいなぁ…」

テル「すっげ…。太鼓みたいやん(笑) いやそれより、人ってあんなに手首が速く動くもんなんか???」

ヤス「ようできへんわ…」

テル「なんか原チャで来たら自分らの音が全く無いな(笑)」

ヤス「やろ〜。めっちゃ不完全燃焼やわぁ…」

テル「こんだけおったら無敵になった気分やなぁ」

ヤス「やっぱ追悼は迫力が違うべ!?」


何気なく会話しているように思われるが、複数台が同時に単車を吹かしているのでお互い耳元で大声を張り上げなければ会話は成り立たない。
分かりやすい環境でいえば、音楽が単車で奏でられているカラオケ、いやクラブ状態とでも表現した方がよいだろうか。

ヤス「テル!指立てて周り走ってる人を見ながらあおってみ???」

テル「え!?」

ヤス「ほんなら吹かしてくれるから、両手両足で踊りまくれ〜!!!」

テル「はっはっは!そんなんあるんや♪ おっしゃ、じゃあ優しそうなあの人!」

ヤス「ん? ってお前ちょっとまて!!! あの人は…」


ヤスの制止はテルの耳には届かず、すでにテルは右手人差し指を下から上に向かって揺らしながら煽りはじめていた。


ヴァンヴァンヴァンヴァヴァ…


テル「おっしゃ来た〜♪ ┏( ̄▼ ̄)┛」

ヤス「あかん、お前絶対に死んだ…」

第3章 『暴走』 第12話

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漫画で見たロケットカウルに3段シート、特攻服、カラスマスク、旗、木刀…。

テル「暴走族の象徴、オンパレードやん…」

ヤス「おう、ワクワクしてきたやろ(笑)」

何という光景なんだろう。
まさか自分がこの中の一員として他の人から見られると思うと、不安と期待とが入り混じった複雑な気持ちになってくる。

マサミチ「おうヤス、遅かったやんけ」

ヤス「そんな遅(おそ)ないやんけ。お前が気合い入れすぎなだけやろ」

マサミチ「そらお前、兄貴の追悼やから気合い入るわいや。おう、テルやんけ」

テル「まいど!」

マサミチ「どや?ちょっとくらいイモってきたけ???」
 ※イモる=ビビルと同義語

テル「全然イモってへんってw でもみんなゴッツイ単車乗ってんなぁ」

ヤス「当たり前やんけ。俺らがしょぼすぎるだけじゃ」

テル「でも意外と原チャもおるんやなぁ」

マサミチ「ケツ持ちは絶対原チャが楽やから、ある程度おらなあかんねん」

ヤス「そのうちの一台が俺らって事やw」

テル「ケツ持ちって、ようするに邪魔するって事やろ?」

マサミチ「そうそう、その間にみんなが散るからな」

ヤス「ケツ持ちやってる時にこけたりしたら即逮捕や」

テル「また意味もなくビビらせるし…」

ヤス「嘘は付いてへん ( ̄へ ̄井)」

マサミチ「取りあえずパクられたら一人の問題じゃなくなるから、無理せず逃げや〜」

ヤス「そういうことやな」

マサミチ「最悪、ケツ持ちなしでもみんなポリくらい撒けるから」

テル「言われてみればそうやなw」

???「おい、集合や!!!」

テル「えっ?あの人誰なん???」

ヤス「ケンタ君や。たぶん一番有名な人ちゃうか〜」

テル「どうみてもジャイアンやな」

ヤス「俺の兄貴が同い年で一緒に走っとったんやわ」

テル「へ〜。それにしても意外とみんな言う事聞くんやなぁ」

ヤス「それなりにみんな認めてるし、誰かがまとめなあかんしな」

ケンタ「ほなこのまま43で大阪入って、いつもの所で2号線経由で神戸な」

ケンタ君の一声で、全員がそれぞれの単車へと散る。
もちろんテルとヤスも原チャへと向かった。


ヴォンッ!!!


ヴァンヴァンッ!!!


一斉に単車が爆音と共にエンジンを始動させた。
10台、20台…軽く50台はこの時点で確認できる。


ヤス「ほな行こか〜」


ついに長い夜が始まる!

第3章 『暴走』 第11話

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外を見るとヤスがタオルを首に掛けて待機しているのが見える。

「よっしゃ、行くか」

必要な物をしっかりと身に付け、部屋の電気を消して窓から外壁に上って一度外に出る。
カーテンは外から部屋の中が見えないように閉め、窓も閉める。

まだ靴下の状態という事もあり、外壁の冷たさが伝わってくるのが分かる。

「よいしょっ!!!」

物音が立たないように外壁から地面へ飛び降りた。

ヤス「靴は???」

テル「あそこ」

先程靴を隠しておいた家の繁みまで駆け寄り、そそくさと履いた。

ヤス「えらい用意周到やんけ(笑)」

テル「色々あったんやわ」

ヤス「ほな行くで〜」

テル「あいよっ」

ヤスの原チャの後ろに乗るのはもう慣れたものだ。
お互いがお互いの癖を分かっているため、まるで一人で乗っているかのように自然な
状態で2ケツが完成する。


ウイ〜ン…


家の前の坂をエンジンをかけずにそのまま下っていく。

ヘッドライトが点灯していない状態で暗闇の中を駆け抜けていくこの感覚が、まるで
今から異次元へとワープしていくような感覚に陥る。

突き当たりのT字路を右へ曲がり、惰性で走らせながらヤスがエンジンを掛けた。

ヤス「多分やけど、徐々に集まってると思うで」

テル「そういえばどこで集まってんの?」

ヤス「43沿いの住吉を越えたくらいにあるコンビニや」

テル「いっぱい集まってたら目立つんちゃうの?」

ヤス「意外とあの防音壁があるから目立ちにくいんやわ」

テル「確かに人通りも少ないし、集合場所にはピッタリなんかなぁ」

イメージとしては、もっと誰にも見られないような公園とかで集合しているのかと
思っていたが、意外にもコンビニだった。

ヤス「今住吉近くで追いかけられたら皆に迷惑掛かるから、裏道で行くで」

テル「おお。って、本間にこういう事に関しては天才的に頭が回るよなぁ…」

ヤス「基本じゃ」

遊び始めてから今までずっと思っていたのだが、とにかくヤスの頭の中には神戸市内の
全ての道がインプットされているんじゃないかと思えるほど詳しい。
さらにその観点が追われた時に使えるかどうかや、行き止まりが無いか、警察との
遭遇率が低いかなど、徹底したデータになっているのだ。


ヤス「ええっと…。こっち行ったらすぐ裏くらいに出るな」

テル「なんでこんな所知ってんねん(笑)」

ヤス「はいビンゴ〜!」

テル「まじで ( ̄△ ̄;)」


恐ろしいほどの記憶力と正確さに驚いている間もなく、目の前に飛び込んできたその光景
にかなりの衝撃を受けた。


 ( ̄□ ̄;)


漫画で見たロケットカウルに3段シート、特攻服、カラスマスク、旗、木刀…。

テル「暴走族の象徴、オンパレードやん…」

ヤス「おう、ワクワクしてきたやろ(笑)」

第3章 『暴走』 第10話

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部屋の電気を暗くし、あと10分になった時に重大な事に気が付いた。

「靴を玄関に置いたままだ…」

玄関と自分の部屋との間を通ると確実に父と遭遇する。
その時に靴を手にしていれば怪しい以外の何物でもない…。

かといって玄関を開けようとすると、鍵を開錠したカチャ音が嫌がらせのように
響き渡るのは防ぎようが無い。

いつもの自分の行動パターンを振り返り、何をすれば一番自然な成り行きで玄関に
近付く事ができるか必死に考えた。


「午後ティーや!!!」


当時のテルは午後の紅茶(ミルクティー)が大好きで、寒い時期になると自動販売機
によく買いに行っている。
という事は、午後ティーを買いに行く流れで靴を外に用意しておけばバッチリのはずだ。

もう時間も無いので、すぐに行動を開始した。

玄関で靴を手に持っている所を見られないため、部屋を出て父がいるリビングを通過する際に
こちら側から先に

「ちょっと午後ティー買って来るわ」

と切り出した。

父「お?なんや、寝るんちゃうんかい?」

まぁまぁ想定範囲の切り返し。

テル「なんか無性に飲みたくなったから」

父「おおそうか」

よし、第一関門突破。

そそくさと玄関へ向かい、あえて玄関の電気を付けずにいつもと違う靴を履く。
特に玄関へ来る様子は無さそうだ。

そしていつもの靴を手に取り、胸の鼓動を感じながら玄関を出た。

「ガチャッ! バタン」

成功だ…。

足早に家の脇にある繁みに靴を隠し、小走りで午後ティーを買いに行く。

「別に飲みたくないねんけどなぁ…」

こういうのを必要経費というのだろう。

人通りが少なく真っ暗な路地に自動販売機が3台並んで周囲を明るく照らしている。
小さな虫がその明かりに集まっており、目の前をチラチラ飛び回る。
目を半開きにして顔を斜めにし、軽い嫌悪感を抱きながら午後ティーを購入する。

「熱っ!!!」

あんまり売れていない自動販売機というのは何となく分かっているが、相当熱い。

袖を使って熱々になった午後ティーを掴み、耳が痛い寒空の下を走り抜ける。

「う〜、耳痛いなぁ…」

玄関を開け、そそくさと部屋に戻る。
父は何か考え事でもしているのだろうか、特に声を掛ける事もなかった。

真っ暗な部屋に電気を付け、改めて外に出る準備をする。
もう5分もすればヤスが来るはずだ。

中の様子が分からないようにテレビを付け、部屋の窓を開けて外の音に耳を傾ける。

「プップッ♪」

ホーンの音か?

外を見るとヤスがタオルを首に掛けて待機しているのが見える。

「よっしゃ、行くか」

第3章 『暴走』 第9話

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ピピピピ…

「もう9時か!?」

色々な事が頭をよぎり、全く寝ることができなかった。
もう少し時間があれば寝れそうな気もするが、今から寝たら絶対に寝過ごす。
まるで徹夜明けのように頭がぼ〜っとしているのが分かる。
今からシャワーに入って準備をしてしまうと、明らかに今から出て行く事を堂々と
アピールする事になる。
かと言って時間的にもヤスが迎えに来る時間まであと1時間ほどしかない。

取りあえず今の状況を確認しにいくため、部屋を出てみる。
母はどうやら本当にしんどいらしく、早々に寝ているようだ。

父「おう。なんや起きたんか」
テル「おお…」

父はもう帰ってきているようだ。
しかも普通にお酒を飲んでいる感じをみると、まだ寝る雰囲気は全然ない。
テル「おかん大丈夫なん?」
父「おお、なんや調子悪そうやのぉ」
テル「こうねんき?やからとか言ってたけど」
父「そう言ってたけどなぁ。取りあえず胃薬飲んでたわ」
テル「そうか」
父「元々あんまり体も強い方とちゃうからな」
テル「せやな」
父「お前も若いからって調子乗っとったら体壊すぞ」
テル「わかってるって。今からシャワー入ってまた寝るし」
父「おおそうせえ」※そうしなさい

さすがに酒を飲んでるだけあって延々と会話が続きそうだ。
取りあえずシャワーに入る口実は出来たから、ちゃっちゃと入ってしまおう。

さむっ!!!

シャワーが温まるまでの時間が罰ゲームのようだ。
しかし今から朝まで外で寒い思いをするのだから、今のうちに限界まで温まっておこう。
シャワーを限界まで熱くし、目をつぶって延々と浴び続ける。
その時は着々と近付いているのだ。
20分ほどシャワーを浴びた後、風呂場を出る。
体を拭きながら外の様子を伺ってみたが、どうやらまだ父は起きているようだ。
ここは焦っても仕方が無い。
取りあえず寝る姿で部屋に入り、部屋で改めて着替えて窓から外に出るしかない。
風呂場から白いタオルを1枚取り、服の下に忍ばせてそそくさと部屋へ入った。

約束の時間まであと20分。

部屋の鍵をかけ、テレビを付けて外部から中の様子が分かりにくい状態を作る。
風通しが悪いズボンを2枚はき、上着はガッツリと着込んだ。
そうだ、靴下も2枚履いておこう。

部屋の電気を暗くし、あと10分になった時に重大な事に気が付いた。
「靴を玄関に置いたままだ…」


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自動車用語中辞典編纂委員会, 斎藤 孟
プロも多数愛用している、自動車用語辞典の代名詞的存在。私も18歳の頃からずっと使い続けています。HPやメルマガの参考書籍です。

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大車林―自動車情報事典
大車林―自動車情報事典 (JUGEMレビュー »)

プロをうならせる自動車関係の書籍としては最強です。イラストも非常に多く、これ以上を望む人はすでにカリスマ的存在のメカニックでしょう。

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