第2章 『没頭』 第27話

今日の夜は単車の後ろに乗るという事もあり、いつもより学校にいる時間が
長く感じた。
とにかく一日中頭の中はまだ見ぬ「HAWK2」がどんな単車なのかで一杯でしつこいほど教室にある時計とにらめっこをしていた。

テルの頭にあるイメージのほとんどは漫画「特攻の拓」に出てくる単車がほとんどであり、まだマサミチが乗っていた単車しか本物の暴走族の単車というものを見たことが無い。

「やっぱ3段シートかなぁ…。ハンドルは上に上がってる?それとも鬼ハン?」

イメージばかりが先行し、肝心のHAWK2のスタイルとはかけ離れた妄想まで繰り広げられていく。


そして待ちに待った夜がやってくる。


ヤス「もしもしテル?」

テル「あいよ〜」

ヤス「とりあえず単車は家の下に停めてあるから来れる?」

テル「おっしゃ。じゃあ今から出るから10分くらいで着くわ」

ヤス「ほな待っとくわ」



電話では落ち着いた素振りをしていたが、内心はウキウキである。

急いで原チャを駆り出し、三宮にあるヤスの家まで急いだ。

三宮はいつもより人通りが多く、なぜかパッツン(パトカー)も多い。

こういう日に限ってなぜ多いのか非常に腹立だしい気持ちになったが、今から悪い事をしようとしているから意識が強く、そう見えるだけだろう。

ヤスの家の下にある薄暗い地下駐車場に入ったら、すぐにそれが分かった。


HAWK2だ!


パールホワイトに塗られたボディに低めの3段シート(通称「チョビ3」)、ヘッドライトは上に持ち上げられている(アップライト)。
ハンドルは上に上がっており、グリップ部は斜め下に下がっているスタイル。
空ぶかしするにはもってこいのスタイルだと見てすぐにわかる。

と単車に見とれていると、駐車場の奥からヤスが歩いてきた。


ヤス「どないよ!?」

テル「おお。めっちゃ族車って感じするなぁ!」

ヤス「せやろ?結構綺麗に乗ってるみたいやからなぁ」

テル「もちろん直管なんやろ?」


直管とはマフラー最後部に取り付けてある「サイレンサー(消音器)」を
付けていない、要は爆音仕様という事だ。
暴走族は基本的に直管だが、素材や厚み、開口部の大きさなどで大きく音が変わる。


ヤス「おお。確かBEETやと思うけどなぁ」

テル「BEET?」

ヤス「元々バブ(HAWK2)は低くて太い音出るからBEETがいいんやろな」

テル「なんか凄そうやな…」

ヤス「個人的には甲高いスネーク管とかが好きなんやけどなぁ」

テル「スネーク管???」



次々と出てくる名前に戸惑うばかりであった。
それもそのはず、基本は漫画で得た知識が頼りなので現実を知らないのだ。


ヤス「たぶん追悼でスネーク管付けてる単車がおるはずやから聞いてみ?」

テル「聞いたら分かるん?」

ヤス「ほんまに蛇みたいやからすぐ分かるわ(笑)」

テル「へぇ〜。そういえばRPM管ってどうなん?やっぱりいいん?」


もちろん漫画の受け売りである。
特攻の拓で頻繁に出てくるマフラーのメーカーなので、一種の憧れのような
ものがテルにはあった。


ヤス「P管かぁ…。俺もまだちゃんと聞いた事ないなぁ」

やはり漫画と現実とではギャップがあるようだ。


ヤス「そういえばまだ車多かったか?」

テル「おおそうや、車も多いしパッツンもなんか多い」

ヤス「あちゃ〜。たまたまやろうけど面倒くさいなぁ」

テル「ちょっと待つ?」

ヤス「あほか。そんなん気合いで行くに決まってるやんけ!」

テル「そう来ると思ったわ(笑)」



ついに単車初走行が始まる。

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