第1章 『出会い』  第1話

母「ちょっとあんたいつまで寝てんの!?」

またいつもの朝が始まった。
当時、思春期真っ只中の16歳である主人公・テルは本当に朝が嫌いだった。

テル「うるさいな〜!もう起きてるって!」

当時はもちろん反抗期。素直に今起きたなんて言わない。

学校まではおよそ50分。電車通学で女子高生も大勢乗っている。
どれだけ遅刻しそうになろうが髪形だけは最優先。
寝癖が付いたまま電車に乗ることは拷問であった。


中学時代はJリーグ全盛期であり、その流行に見事に乗ってサッカー部に入部。
しかし中学サッカーから高校サッカーに切り替わる時期に退部した。

当時の私は「スケボー」に夢中になっていたのだ。

「ガチャッ」

スケボーに乗り、スケボーが入るカバンを肩にかけて坂を下っていく。
これがいつもの通学スタイルだ。

「ゴォ〜!」

という爆音を立てながら駅まで滑走していくのだ。

ライバルは通勤自転車(笑) 自転車には絶対に負けたくない。
そのくらいスピードを出しても平気なほど、スケボーが上手かった。

大会で優勝して本気でスポンサーを付けたいと思っていたほど、スケボーは当時の私の
頭の中の8割以上を占めていた。

そんないつもと同じ日常に突然『ターニングポイント』がやってきたのだ。

いつものように遅刻寸前で学校に行き、いつものように授業中に漫画を読んで
学校が終わる。

そして待ちに待ったスケボーの時間が始まる!


学校帰りにいつもの仲間といつもの広い公園でスケボーの練習をするため、
私はその広い公園へ 友人「りゅう」と二人で向かった。


りゅう「そういえばまさるがゲンチャ買ったらしいで!」

テル「ゲンチャ?」



突然ゲンチャと言われ、何のことだかわからなかった。
いわゆるスクーターの事である。

一番驚いたのは、まさるが買ったという事だった。
まさるはごく普通のまじめ君なのだ。


「まさるが原チャ!?」


友人間では間違いなく原チャ購入一番乗りである。
まさるがその時私が到着した公園のすぐ近所に住んでいる事を思い出し、

「まさる呼ぼうぜ!」

という事で、当時は最先端であるポケベルで呼び出した♪


言うまでも無く、この時に大きなターニングポイントを迎えていたのである。


「ブイ〜ン♪」

テル「う〜わ!ほんまに原チャやん!!!」

まさる「おう。別に嘘なんか付かへんわ」

りゅう「ちょっと乗らせてや!」


16歳の少年にとって、エンジンが付いた乗り物に興味が沸かないはずが無かった。
今でも性格は変わっていないが、りゅうのあまりの強引さにまさるはしぶしぶ大事な
原チャを貸した。


りゅう「うお〜!ばり気持ちいいやん〜!」


その時私は…。

妙に緊張していた。

次は自分が乗るはずだと確信していたからである。

中学から私学へ通った私には原チャという物を意識した事が無い。
ヤンチャが多い公立中学に進学していれば一度は経験していたはずだが、まじめ君揃いだった
私の母校ではそのような話題は一度も出ていない。


りゅう「テル!次はお前が乗ってみろや!」

テル「おっしゃ!」


もちろんドキドキである。でも強がりで負けず嫌いな自分には、ドキドキしている事が
ばれる事は絶対に避けたい道である。


テル「よいしょっと」


初めてまたがった原チャ。
エンジンの振動が手に響いてくる。心臓がバクバクと鼓動するリズムと重なり、
心臓の鼓動とエンジンの振動がシンクロしている。
もちろん表情だけは冷静を装い、別に何事も無いかのような平然とした顔つきである。


テル「いってきま〜す♪」


とは言った物の、「行くしかない」という決心をした瞬間だったのは言うまでも無い。

恐怖を断ち切り、思い切ってアクセルをひねった。


テル(心の中)「うわっ!?」

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