第3章 『暴走』 第32話

ヤス「暴走の後、あいつらと合流するからお前も来るやろ?」

テル「来るやろっていうか、半強制やろ?(笑)」

ヤス「贅沢なやつやなぁ。彼氏おらん女子の所に連れて行ってやろうと言ってるのに感謝せんかい」

テル「ああそうですね」

ヤス「これで解散!みたいなんじゃなくて、徐々にみんな散っていくから、様子見て俺らも散るで」

テル「あ、そういう感じなんや」

ヤス「こんだけ騒がしくしといて、一か所に単車も停めて集まるとか危なすぎるわ」

テル「確かに…」


当時は携帯電話もほとんど普及しておらず、どういう連絡手段を持ってこのようなイベントがあるということを周知していたのだろうかと、当時を振り返りながらふと感じる。

待ち合わせも含めてだが、どことなく「いつもの場所」に行けば誰かいる。そういった暗黙の了解が主な交流の手段だったのだろう。

自らアンテナを立てていないと情報は全く入って来なかった分、第三者との交流や情報交換に関しては重視されていたし、知識を得るためには先輩や先生方からの教えが今よりも圧倒的に重視されていたと感じる。

今でこそグーグル先生に聞けば知りえない情報など無いと言えるほど色々溢れているとも感じるが、入手した情報の確からしさをジャッジできるスキルを合わせて身に付ける必要があるのは言うまでもない。


テル「じゃあ生田(三宮手前)あたりで抜けたら、六甲に戻りやすいやん」

ヤス「おお、そのつもりや」

テル「で、どこで待ち合わせしてんの?」

ヤス「何時に解散するかも分からんのに、そんなん無いわ」

テル「まぁそやけど…」

ヤス「こういう時はいつもの場所や」

テル「いつもの場所…ね(笑)」

ヤス「あいつらどこ行くやろか」

テル「分かってないやんけ!(笑)」


たった一晩の出来事であったが、あわや逮捕されていたかもしれない状況に追い込まれた直後とは思えないほど、天国と地獄が交錯するような目まぐるしい一夜だ。

漫画かと思うような数々の単車、どうやってるんだ?と思うような見事なアクセルミュージック。
そもそも、こんなに一杯の単車は普段どこに置いてあるの?という率直な疑問もある。

柵を乗り越えて隠れていた時は、正直言って生きた心地が無かった。
あっという間に集団に追いついた時はヤスの凄さを改めて実感したが、次はそんなヤスの彼女とその友達との合流に向けて動き始めている。

う〜ん、不思議だ。

学校の同級生はとっくに寝ているんだろうなぁ。
きっと暴走中の音がうるさくてイライラしている友人もいるだろう。
でもまさか、その中に俺がいるなんて夢にも思ってないだろう。

まだ終わってはいないが、今夜経験したことを振り返ってみる。


テル「なんか今日一日で色々あったなぁ…」

ヤス「おお、なんか分からんけどこういうのワクワクするやろ」

テル「普通に生きてて経験する密度を遥かに超えてるよな(笑)」

ヤス「ま、俺は暴走族じゃなくて走り屋やから毎週はいらんけど、たまにはええよな」

テル「周りからみたら立派な暴走族ですけど?」

ヤス「は〜?こんな真面目な人間やのに、あいつらと一緒にすんな」

テル「うん、普通はその違いなんて分からない」

ヤス「ほな、悪い人たちに別れを告げて、真面目な俺らはちゃっちゃと六甲戻ろか〜」

 

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