第3章 『暴走』 第10話

JUGEMテーマ:車/バイク


部屋の電気を暗くし、あと10分になった時に重大な事に気が付いた。

「靴を玄関に置いたままだ…」

玄関と自分の部屋との間を通ると確実に父と遭遇する。
その時に靴を手にしていれば怪しい以外の何物でもない…。

かといって玄関を開けようとすると、鍵を開錠したカチャ音が嫌がらせのように
響き渡るのは防ぎようが無い。

いつもの自分の行動パターンを振り返り、何をすれば一番自然な成り行きで玄関に
近付く事ができるか必死に考えた。


「午後ティーや!!!」


当時のテルは午後の紅茶(ミルクティー)が大好きで、寒い時期になると自動販売機
によく買いに行っている。
という事は、午後ティーを買いに行く流れで靴を外に用意しておけばバッチリのはずだ。

もう時間も無いので、すぐに行動を開始した。

玄関で靴を手に持っている所を見られないため、部屋を出て父がいるリビングを通過する際に
こちら側から先に

「ちょっと午後ティー買って来るわ」

と切り出した。

父「お?なんや、寝るんちゃうんかい?」

まぁまぁ想定範囲の切り返し。

テル「なんか無性に飲みたくなったから」

父「おおそうか」

よし、第一関門突破。

そそくさと玄関へ向かい、あえて玄関の電気を付けずにいつもと違う靴を履く。
特に玄関へ来る様子は無さそうだ。

そしていつもの靴を手に取り、胸の鼓動を感じながら玄関を出た。

「ガチャッ! バタン」

成功だ…。

足早に家の脇にある繁みに靴を隠し、小走りで午後ティーを買いに行く。

「別に飲みたくないねんけどなぁ…」

こういうのを必要経費というのだろう。

人通りが少なく真っ暗な路地に自動販売機が3台並んで周囲を明るく照らしている。
小さな虫がその明かりに集まっており、目の前をチラチラ飛び回る。
目を半開きにして顔を斜めにし、軽い嫌悪感を抱きながら午後ティーを購入する。

「熱っ!!!」

あんまり売れていない自動販売機というのは何となく分かっているが、相当熱い。

袖を使って熱々になった午後ティーを掴み、耳が痛い寒空の下を走り抜ける。

「う〜、耳痛いなぁ…」

玄関を開け、そそくさと部屋に戻る。
父は何か考え事でもしているのだろうか、特に声を掛ける事もなかった。

真っ暗な部屋に電気を付け、改めて外に出る準備をする。
もう5分もすればヤスが来るはずだ。

中の様子が分からないようにテレビを付け、部屋の窓を開けて外の音に耳を傾ける。

「プップッ♪」

ホーンの音か?

外を見るとヤスがタオルを首に掛けて待機しているのが見える。

「よっしゃ、行くか」

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