第3章 『暴走』 第5話

JUGEMテーマ:車/バイク


まだ少し体が小刻みに震えていた。
同レベル、いや同年代の人間が相手であればそんな事もないのだろうが、明らかに
世界が違う人間に「的」にされる事に心と体は正直に反応していた。
当たり前のように言うヤスは平気なのだろうか?
根本的にこいつらとは神経が違っているんじゃないかとテルは感じていた。

テル「狩りって何が目的なん?」
ヤス「俺が聞きたいわ!」

ごもっともである。
しかし平然としているヤスが腑に落ちない。

テル「あの人らも昔は走ってたんよなぁ」
ヤス「そらそうやろうなぁ」
ヤス「でも、たまに現役の奴も混ざってんで」
テル「はあ?」
ヤス「面白半分って事やな」
テル「うざっ!!!」
ヤス「立場が変わるとって言ったら変やけど、車を運転しとって遭遇したらなぁ」
テル「気持ちが分かるってか?」
ヤス「なんか追いかけたくなるで(笑)」
テル「そんなもんかのぉ」

今思えば、ヤスという存在が非常に身近だったからこそ自分自身の考え方もどんどん
上書きされ、当たり前の基準が変わったのだろう。
友達の影響は大きいというが、まさにヤスはそうだった。
数ヶ月前までは、自分自身がこのような世界に首を突っ込むなんて夢にも思って
いなかったのだ。
それが今や、週末に控える追悼の事ばかりが頭に浮かんでいる。
いや、「これは絶対に駄目な事だ!」と拒否する事ができる人が大半であろう。
しかし当時のテルにはそれができなかった。とにかくバイクが好きだったのだ。
速く走る楽しみ方はもちろんだが、バイクの醍醐味である「音」という世界にも
非常に興味があったのだ。
あとは漫画の影響があったのも否定できない。
ご存知の方もいるかと思うが、当小説に稀に登場する「特攻の拓」である。
元々は真面目で誠実、いじめられっこの主人公が周囲の友人の影響で知らず知らずの
うちに暴走の世界に溶け込んでいく。
その中で出てくる単車や「音」の描写、改造や部品メーカーなどなど、漫画の世界と
現実世界が見事にマッチしていた事がテルの心をくすぐっていたのだろう。

ヤス「ほな、明日の夜に迎えに来るからタオル用意しとけよ」
テル「はいよっ!」

ついに追悼の日がやってくる。

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