第3章 『暴走』 第2話

JUGEMテーマ:車/バイク


単車の排ガスの臭いが妙に心地よい。

二人の乗った単車は爆音を撒き散らしながら、ヨンサンへと吸い込まれていった。

ヨンサンの頭上には阪神高速が通っている関係で、音の反響が凄い。
エンジンを吹かすと町中に響き渡っているかのような大音響が響き渡り、これぞ
醍醐味!という快感を得る事ができる。

そのせいもあってか、ヤスが延々と吹かし続けている。
3車線の道路だが車はほとんどおらず、自由を感じる瞬間だった。

ヤス「そういえば住吉に行った事あったっけ?」

テル「何かあるん?」

ヤス「このへんやったら結構大きい族があるわ。たぶん公園におるんちゃうか?」

テル「へ〜。行った事無いなぁ」

ヤス「ほな近いし、ちょっと顔出してみよか」


大きい族。
見かけた事はあっても、その輪の中に入っていくのは想像したことがなかった。

ちょっと前の自分なら恐さを感じていたはずだが、この日のテルには何の感情も
芽生えなかった。

いや、正確には状況は違っても自分と同じような感情を持った仲間がいるんだろう
というちょっとした安堵感のような感覚だったのかもしれない。

ヨンサンから住宅街へ入っていき、細い道を行くと公園があった。
暗くてよく見えないが、遠めに見ても中に単車が5台は止まっている。

こっちの単車の音に気づき、全員が立ち上がってこちらを警戒しているようだ。

エンジンを止め、惰性で公園内へ入っていく。


ヤス「まいど〜」

???「真島か?」

ヤス「おう。久しぶりやのぉタケシ」

タケシ「相変わらずやなぁ。あれ?ケツに乗ってるのって…」

ヤス「わしの連れ、テルや」

テル「あれ〜?」

タケシ「やっぱそうやんなぁ!?」


まさかの再会であった。

テルが実家の近くで子供の頃よく遊んでいた友達、タケシが目の前にいるのだ。
記憶は定かではないが、タケシはいつだったか引っ越して依頼会っていなかった。

タケシ「テルちゃ〜ん、悪い事ばっかやっとったらあかんで〜」

テル「よう言うわ本間、お前こそ何やってんねん(笑)」

タケシ「俺は誠実な人生をまっとうしてるだけやで」

テル「そんなん俺もやっちゅうねん」

今まで思い出すことがなかった友人との思わぬ再会に、昔の思い出が一気に
湧き出してくる。


ヤス「テルは失恋で人生お先真っ暗やねんな」

タケシ「うわっ。もしかして病んでる人!?」

テル「いらんこと言うなっちゅうねん。別に病んでへんわ!」

タケシ「そういえば明日の追悼出るん?」

ヤス「単車で出ようと思ったけど、テルが慣れてないから原チャで出るわ」

テル「そうなん?」

ヤス「だって、あのクラッチ操作やったら無理やって ( ̄m ̄〃)」

タケシ「なんや、まだ下手っぴかいな」

テル「いやいや、こないだ1回乗っただけやで!?」

タケシ「それやったら原チャ確定やな。」

ヤス「やろ?」

テル「なんかむかつく…」

ヤス「ええやん。取り合えずどういう感じか遠めで見る感じで」


馬鹿にしているような二人の忠告だが、本当に正解だった。


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