第3章 『暴走』 第1話

JUGEMテーマ:車/バイク

 
長田まで単車を取りにいき、三宮に帰ってきた時にはすでに街は夜のネオンで
満たされていた。

こういう時に限って、仲良さそうに腕を組み合って歩くカップルが目に付く。

「ちくしょう…」

妬み。

幸せそうな時間をぶっ潰してやろうという気持ちが沸々とわいてくる。


ヴァンヴァンヴァンヴァヴァヴァ〜バババッヴァヴァ〜バババッヴァ…


「えっ!?」

という表情でカップル達が爆音の発生源を慌てて確認する。

「見たらあかん…」

という雰囲気を出しながら、そそくさと足早に立ち去っていく。


お酒の勢いもあるのだろう。
スーツ姿の兄ちゃん達がニヤニヤしながらこっちを見ている。


ヤス「なんやあいつら」

テル「行こ」


兄ちゃん達の目の前に単車で正面からアクセル全開で向かっていく。
慌てたように道を開けるが、目的は通過ではない。

急ブレーキをかけてタイヤを鳴らしながら目の前で単車を止める。

テル「何や?」

兄ちゃん「いや、何も無いです」

テル「はぁ?」

ヤス「調子のって見とったらあかんぞコラ」

兄ちゃん「すんません…」

テル「何も無いんやったらはよ行けや」


イライラしていた。

心が壊れるとここまで人は変わるのかと自分で不思議だった。


テル「ヤス〜。この辺おもんないからヨンサン(43号線)行こ」


全てが敵に見えた。

明らかに自分の目つきが悪い。
目尻が上がり、狐のような目になっているのが分かる。

何の根拠もないが、全てを壊せる気がしていた。

この姿を真美ちゃんに見られたら、今以上に幻滅されるのは分かっている。
しかしこうなったのは真美のせい、だからよりを戻して元の姿に戻してくれ!
と絶対に叶うはずが無い方法でSOSを出しているのだと自分でも分かる。

テルの世界がたった一日で変わった。

すれ違う車が幻想のように見える。
心ここにあらずという言葉はこういう時に使うのだろう。

単車の排ガスの臭いが妙に心地よい。

二人の乗った単車は爆音を撒き散らしながら、ヨンサンへと吸い込まれていった。


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