第2章 『没頭』 第47話

 真美「テル君ごめんね!」


テル「えっ???」



そこから先の言葉は聞きたくなかった。
まだごめんねという言葉を聞いただけだったが、一瞬にしてテルは悟ったのだ。


 


 


ゴクリ。。。


 


 


真美「別れよ」


 


 


その瞬間、テルは目の前が真っ白になった。


人間、ショックが大きいと目の前が真っ白になるなんて表現を耳にした事があるが、実際にそうなってみると頭の中は「無」になってしまうようだ。


 


テル「えっ?」


 


真美「だから…。別れよって言ったの」


テル「何で?とりあえず全然意味が分からへんねんけど…」


真美「私だってすんごい悩んだ結果なんだよ」


テル「悩んだ結果って…。他に好きな人でもできたん?」


真美「それは絶対に無いけど、色々あってね…」


テル「ごめん、ちょっと待ってくれ。パニックやわ」


真美「…。」

真美「私よりテル君にピッタリな人、きっと見つかるから♪」


 


とにかく頭の中を整理しようと思ったが、とても整理なんてできない。


とりあえず把握できたのは、真美ちゃんが別れたいと思っている事だけだ。
いや、大好きな真美ちゃんを失ってしまうかもしれないという全く考えた事もない恐怖心が心の底から湧き出してきている事だけと言った方が正しいかもしれない。


 


真美ちゃんと別れる?


 


そんな事あるわけない。


 


それから30分ほど経ったのだろうか、本当にパニック状態だった事もあって詳細な会話の内容を全く覚えていない。


私の記憶は放心状態で真美ちゃんと一緒に部屋を出る時から再開する。



いつも登っていた部屋への階段を下りながら、ふとつぶやいた。



テル「もうこの階段を下りる事も、ましてや上ることは無いんやな…」


真美「…。」



玄関を出て家の向かいにあった駐車場で缶コーヒーを買い、その場に力無く座り込んだ。
ポタポタと涙がこぼれていた。


ふと見ると、真美ちゃんはバッグを持っている。



真美「ごめん、これから友達と遊びに行く約束してるんよ」


テル「お?そっかそっか、じゃあこんな所で時間潰してたら迷惑やな」


真美「うん、ごめんな」


テル「じゃあまたな!」



気丈に振舞ってみたが、とにかく別れ話をした後に平気で遊びに行けるという気持ちが全く理解できなかった。


真美ちゃんを見送ったその時、あまりにも信じられない事が起こりすぎたのだろう。
パニック状態を超えて笑いがこみ上げてきたのだ。



テル「ハッハッハ…」



取りあえずこの場から立ち去ろうと思い、当ても無く歩き始めた。
まるで酔っ払いかのように千鳥足でフラフラと歩いているのが分かる。


目の前にあったパイロン(三角コーン)を思い切り蹴る。



テル「ふふふ。めっちゃ飛んだなぁお前。もう一回蹴ったるわぁ」



完全に酔っ払っているような気分だ。
ふと、さっきまで一緒にいたヤスを思い出して電話を掛けてみる。



テル「ヤス〜!さっきなぁ、真美ちゃんと別れたでぇ〜(笑)」


ヤス「はっ!? っていうかお前酔ってる? 取りあえず大丈夫か?」


テル「何がぁ?めっちゃ元気に決まってるやん」


ヤス「あかんわ…。お前今どこにおんねん!!!」


テル「今かぁ?今はなぁ、う〜ん…。真美ちゃんの家の近くやなぁ」


ヤス「お前そっからもう動くな!すぐに迎えに行くから待っとけよ!」


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