第2章 『没頭』 第1話

さっきまでコンビニで他愛も無い話をしていたとは思えない。

何がどうなったらこのような展開になるんだろうか。


漫画に出てくるような単車。

初めてみる「総長」。

一緒に走っている自分…。


全く意味が分からない。


たむろしていた公園を単車と原付数台で出発し、国道に出ようとしたその時から一気に世界が変わった。


「ヴォンヴォンヴォンヴォン!!!!!」


信号は赤だ。しかもかなり大きい交差点で片側3車線。

そこに爆音の単車と原チャが滅茶苦茶なやり方で車を止めて交差点を渡る。


テル「嘘やろ…」

ヤス「テル遅れんなよ!」

テル「お…おう」



「ヴァ〜ンヴァヴァヴ〜アヴァヴァヴ〜アヴァヴァヴァ〜ヴォ〜」


ヤス「やっぱあいつうまいなぁ」

テル「うわ!これってアクセルミュージックって奴!?」

ヤス「何それ?」

テル「いや、特攻の拓(ぶっこみのたく)って漫画で見た…」

ヤス「ようわからんけど、人によって吹かし方が違うからおもろいで」

テル「何あれ?半クラとか使って音変えてんの?」

ヤス「そうそう。なかなか難しいんやで」

テル「あの手首の動きは異常やな…」

ヤス「かなり慣れてないとできへんで。すぐ手が吊りそうになるしな」



音楽をずっとやってきているのでリズム感には自信がある!

なんて言ってる場合ではないのだ。

今、自分がいわゆる「暴走」に参加している事の実感が沸かなかった。


「ウ〜ウ〜〜!!!」


テル「!?」

ヤス「来た!パッツン(パトカー)や!」

マサミチ(総長)「ビビんな!しっかりケツ持ちせ〜よ!!!」


第2話へ

第2章 『没頭』 第2話

マサミチ(総長)「ビビんな!しっかりケツ持ちせ〜よ!!!」


「ヴァ〜ンヴァヴァヴ〜アヴァヴァヴ〜アヴァヴァヴァ〜ヴォ〜…」


テル「こんな状況でも吹かすんか(笑)」

ヤス「ある意味それがメインやからな。とりあえず絶対パッツンを前に出すなよ!」

テル「前に出したら?」

ヤス「進路ふさがれてアウトや」

テル「それは困る(汗)」



警察「こらボケ!はよ止まらんかい!」


テル「うわ〜。口悪いなぁ…。」

ヤス「こんなもんやで」



警察「マサミチぃ!お前って分かってんねんぞ!!!」


暴走する時は写真を取られても大丈夫なようにタオルなどで顔を隠す。
しかし、一度でも捕まったことがある者は顔を隠しているので暴走をした証拠は残らないが、当然ばれている。


マサミチ「やっかましいわボケ!」


改めてパトカーを見ると中には4人ほど警察が乗っている。
カメラが常にフラッシュを焚いており、少しでも証拠になる物を残そうと必死だ。
後部座席にいる警察は窓から身を乗り出し、写真を撮ったり警棒を振り回して威嚇をしている。まるで「警察24時!」みたいだ…。


マサミチ「そろそろ撒くぞ!テル遅れんなよ!」


ヴォ〜〜〜ン!!!


一気に単車が加速を始めた。


テル「いきなりかよ!?」

ヤス「テル行くぞ!」

テル「お…おう」



大通りから徐々に小道へと入って行き、小回りが聞きにくいパトカーとの距離を徐々に広げていく。


ヤス「ここは撒き道やで」

テル「撒き道?」

ヤス「要するにパッツンを撒くための道や」

テル「確かに入り組んでるし道も狭いよな」

マサミチ「とりあえず住吉公園入るで」

ヤス「OK」

テル「いつもの所って感じ?」

ヤス「そういう事やな」



「ウ〜ウ〜〜!!!」


テル「!?」

マサミチ「あかん!待ち伏せや!!! 散って撒くぞ!」


第3話へ

第2章 『没頭』 第3話

「ウ〜ウ〜〜!!!」


テル「待ち伏せ!?」

ヤス「みたいやな…。あんまこの辺詳しくないから行き止まりが怖いな」

テル「行き止まりあったら悲惨やん(汗)」



地元から離れているので、土地勘が無く非常にハイリスクである。
ここから先は勘に頼るしかない。


マサミチ「あの先で散るぞ!もし標的にされたら落ち着いて撒けよ!」

ヤス「テルは俺に付いてこいよ。マサミチ〜!俺ら左行くぞ」

マサミチ「おおわかった!」

テル「左やな…」



警察「お前らが行くところなんか分かっとんじゃ!早く止まらんかい!!!」


テル「いやいや、この状況で止まる奴なんかおらんやろ…」

ヤス「いちいちマイク使って言うからうざいねん」



かなりの大音量である。しかも言葉遣いが荒い。
いくらなんでも周辺の人が警察に対して不信感を抱くのではないだろうか…。

と、そんな事を気にしている場合ではない。


マサミチ「散るぞ!!!」

テル「ひだりぃ〜!」



六甲で練習しておいてよかったと本気で思った。
それなりに原チャの操作に慣れているので普通に曲がれたが、もし何も練習していない状態だったら曲がれてなかったかもしれない。


テル「パッツンは!?」

ヤス「こっちや!」

テル「なんでやね〜ん!!!」



運が悪かったのか、パトカーは左に曲がってテルとヤスの方へ付いてきた。


ヤス「とりあえず国道まで出るぞ!」

テル「国道!?道が広くなって大変やん…」

ヤス「ええから国道行くぞ!」



警察「お前ら下手くそな運転なくせにしつこいんじゃ!もう観念せんかぃ!」


ヤス「はい無視〜」

テル「なかなかこっちをイライラさせるのうまいなぁ…」

ヤス「もうすぐあいつらをだまらせたるわ(笑)」

テル「何か国道に秘策がありそうやん」

ヤス「当たり前やんけ」



神戸の43号線は非常に大きな国道で、片側3車線で中央分離帯もある。
普通の小道から国道に出れば、必然的に進行方向は決まってしまう。

このまま国道に行けば左にしか曲がれないが一体どうするつもりなんだろう…。


テル「ヨンサン(43号線)見えた!」

ヤス「よっしゃ!右に曲がるぞ!!!」

テル「みぎ〜!?」


第4話へ

第2章 『没頭』 第4話

正面に見えている道路は左にしか曲がれないはず…。

という事は道路を逆走するつもりなのか!?


テル「逆走する気か!?」

ヤス「ちゃうわ!歩道に入るんじゃ!!!」

テル「おおお!画期的な方法やなぁ♪」



歩道を右に曲がってしまえば、中央分離帯があるこの国道であればバイク以外付いて来る事ができない。


ヤス「ここまできたら焦らんでええぞ。ゆっくり歩道に入れよ」

テル「ここで転倒したらかなりドジやもんな」



歩道に入った途端、パトカーの中にいる警察の計算が狂ったようだ。


警察「あっ!?こらどこ行くんじゃ〜!!!」


ヤス「バイバ〜イ」

テル「お疲れさ〜ん」



名残惜しそうにパトカーが左に曲がっていく。
さすがに交通量の多い国道を逆走はしてこなかった。


ヤス「たぶんUターンしてくるから、そのタイミングでまた小道入るぞ」

テル「ちょうど死角になった時に姿を消す訳か!」



思った以上に理論的な所に驚いた。
何も考えずに逃げ惑うのかと思っていたら、かなり入念な計算をしているようだ。

思ったとおり、パトカーはUターンをはじめた。


ヤス「よっしゃ入るで」

テル「本間にUターンしやがった(笑)」

ヤス「あいつらワンパターンやからな」

テル「そういえばマサミチとかどこ行ったんやろ?」

ヤス「たぶん灘に戻ってるんちゃうか」

テル「じゃあ上の道経由で戻る?」

ヤス「せやな」



どっちにしても土地勘が無い場所にいても仕方がないので、地元である灘へと進行方向を変えた。

第5話へ

第2章 『没頭』 第5話

まだ体が少し震えている。

これは怖かった時の震えではなく、なぜかワクワクしているようなそんな
感覚だった。

正直、本気でパトカーに追いかけられた経験は初めてである。

映画で見た事があるようなカーチェイスとまでは行かないが、何かそれに近いドキドキワクワク感を実際に体験したような感覚だ。


テル「何か面白かったかも…」

ヤス「ドキドキしたやろ!?」

テル「ちょっとな(笑)でも必死に追いかけてるくせにそんなもんかって感じやなぁ」

ヤス「あれが日本の法律に縛られた警察の限界や」

テル「限界?」

ヤス「本間にぶつけたら色々面倒くさいやろ?だからあれ以上近づけへんねん」

テル「奴らも色々大変なんやろうなぁ」

ヤス「俺らはただ撒くだけやけどな ( ̄皿 ̄)」

テル「なんか原チャの運転が上手くなっててよかったって思うわ」

ヤス「最低限の腕が無いとすぐに捕まるで」

テル「こけたら終わりやもんなぁ」

ヤス「こけたら終了や」



そう考えると、何かレースみたいにも思える。
こけるともう勝ちは無くなる。自分との精神的な戦いのようだ。


ヤス「どうする?とりあえずHAT神戸に向かうで」

テル「あいよ〜」



出発地点であったHAT神戸に戻った。きっとマサミチ達はここに戻っているはずだ。


ヤス「ああ、おるわ」

テル「本間や」

ヤス「マサミチ〜!」



マサミチ「お?あれは真島とテルか?」

阪田「たぶんそうやろ。あの音はテルのゼロチャンバーやもん」



ヤス「おったおった。お前らせっこいわ〜」

マサミチ「何がせこいねん。お前らがドンくさいから追いかけられるんじゃ」

テル「結構しつこかったで〜。全然知らん土地やしさぁ」

マサミチ「ちょっとビビッたけ!?」

テル「いや、楽しかったわ」

マサミチ「ははは。それは予想外の回答やわ」

阪田「どこまで追いかけてきとったん?」

ヤス「43まで下りて歩道スペシャル使ったったわ」

マサミチ「結構付いてきとってんなぁ。要するにお前が下手!」

ヤス「お前は本間に喧嘩売ってんなぁ」

テル「まぁまぁ。でもあの歩道スペシャルって凄いなぁ」

阪田「あんなんまだまだ基本やで〜。まだまだ色々あるわい」



ちょっとした体験ではあったが、本当に全てが初体験で時間が経つのを忘れていた。
次の日はもちろん学校であり、そんな事は全く考えてもいなかった。


ヤス「テル!もう5時やで」

テル「はぁ?5時って朝の???」

ヤス「夕方のわけないやん」

テル「うわ〜。学校行けるかなぁ…。あれ?」

ヤス「どないしたん?」

テル「家の鍵がない…」


第6話へ

第2章 『没頭』 第6話

ヤス「どないしたん?」

テル「家の鍵がない…」

ヤス「鍵がないってどっかで落としたんか?」

テル「いや、落とす事は無いと思う」

ヤス「じゃあ普通に忘れてきたん?」

テル「たぶん…」

ヤス「ほなどないするん?」

テル「何とかして家に入る!」

ヤス「本間に入れるんか?」

テル「たぶん俺の部屋の窓の鍵が開いてるはずやし」

ヤス「じゃあ大丈夫やな」

テル「どうしようも無くなったら電話するわ(笑)」

ヤス「じゃあ着信拒否しとくわ」

テル「なんでやねん(笑)拒否する意味が分からんわ」

ヤス「あえて路頭に迷わそっかなと…」

テル「おいおい」

ヤス「まぁええわ、とりあえずもう帰るやろ?」

テル「せやなぁ。1時間だけでも寝たいし」

ヤス「そっか。じゃあまたな」

テル「おうまたな。みんなによろしく」



マサミチ「あれ?テルもう帰るん?」

テル「おお。今日学校あるしな」

マサミチ「そっか学生やねんなぁ…。忘れとったわ」

テル「そういう事やな(笑)じゃあまたな」

マサミチ「おうまたな」



みんなと別れた後、部屋の鍵が開いていることを願って急いで家に戻った。

原チャの音が大きいため、あえて家の遠くでエンジンを切り、歩いて近づく。
そっと原チャのスタンドを立て、音を立てないように家の壁をよじ登る。

テル「開いといてくれよ〜」

窓に手をかけ、願いを込めて窓を開ける。


開かない…。


テル「うわ〜。なんで締まってんねん」


部屋を出るときは間違いなく開いていたので、きっと鍵が開いている事に気が付いた誰かが締めたのだろう。


テル「えらいこっちゃ…」


警察との攻防で思った以上に体が疲れている。
とりあえず仮眠でもしなければ。

第7話へ

第2章 『没頭』 第7話

テル「えらいこっちゃ…」


警察との攻防で思った以上に体が疲れている。
とりあえず仮眠でもしなければ。

さっき登った壁を下り、とりあえず原チャを押して家から離れる。


さぁどうしようか。


とりあえずヤスに電話してみるか…


ヤス「はいよ〜」

テル「締まっとった」

ヤス「はぁ?もしかして家なき子(爆)」

テル「例えが古いんじゃ。とりあえず今どこにおるん?」

ヤス「もう家着いたで」

テル「うわ!めっちゃ速いし…」

ヤス「明け方は車おらんから信号は全部青に見える!」

テル「いやいや赤も見えるやろ」

ヤス「俺の中では青やねんって。で、どないすんの?」

テル「どないしよ…」

ヤス「じゃあとりあえず家来たら?」

テル「そうやなぁ…」

ヤス「家の前来たらまた電話して」

テル「はいよ」



あと2時間くらいで登校なのに何をやってるんだろうか。
まぁこんな日もあっていいかな。

5分ほどでヤスの家に付き、ヤスの家に入った。


テル「!?」

ヤス「おっ、早いやん」

テル「いやいや、それよりも…」

ヤス「え?こいつか?」

テル「うんうん・・・」

ヤス「美香。こないだ知り合ってな」

美香「どうも…」

テル「いつの間にお前は…」



最近はかなり一緒にいる時間が多いはずだが、全く知らない所でいつの間にか彼女?を作っていた。
しかもあの短時間で家に呼んでいる事が誠に不可解だ。


テル「とりあえず仮眠するわぁ」

ヤス「俺らも多分寝てるから勝手に出ていってええで」

テル「起きれたらな ・・・(ノ_< ;)」



そういえばまた真美ちゃんに連絡できてないなぁ。
気持ちが減った訳じゃないが、最近の日々の刺激が強すぎてどうしても連絡を取る余裕が無い。


このままやと…。


あかんあかん!!!

それだけは絶対にあかん!!!!!


頭で考えていると全然寝付けず、結局家族が起きている時間になってしまった。


テル「そろそろ帰ってみるわ」

ヤス「…」

テル「あら寝てるんかいな」



そ〜っとヤスの家を出て、自分の家へと向かった。
朝の日差しがまぶしく、寝ていない自分には結構辛いものがある。


テル「ε〜( ̄、 ̄;)ゞふぅ。やっと家に着いたかぁ」


余裕な表情をあえて作り、玄関から堂々と入ってみる。


ガチャッ!


父「何をやっとったんじゃ〜!!!」

第8話へ

第2章 『没頭』 第8話

ガチャッ!


父「何をやっとったんじゃ〜!!!」


テル「!?」


予想外だ。

ある程度怒られるのは仕方無いとはいえ、玄関に入った途端に怒鳴られるとは全く予想していなかった…。

あまりに突然の攻撃に言葉が出てこない。


テル「いや、家に戻ってきたんやけどさぁ…」

父「戻ってきたぁ?今戻ってきたやんけ」

テル「いや、鍵を忘れて入れんかったんよ」

父「あほか!根本的にみんなが起きてる時間帯に帰ってきてないからやろ!」



ごもっとも。


テル「まぁそうやけど…」

父「で、夜中どこにおったんや」

テル「とりあえずヤスの家で寝た」

父「じゃあ学校行くんやな!?」

テル「ああ、今から行くよ」



予想外の展開に多少戸惑ったものの、なんとかその場をやり過ごせたようだ。

ただ思った以上に時間が経っていたらしく、電車で行くととても間に合わない…


となると原チャで行くしかないか。

学校の近くの住宅街に隠しておけば何とかなるだろう。


テル「行ってきまっさ」

父「おう」



制服で原チャに乗るのは慣れているとはいえ、さすがに学校に行くとなると色々と作戦を立てないとハイリスクだ。

意外と先生と遭遇する可能性が高いから、とりあえず普通は通らないような道を選びながら行くしかない。


とりあえず国道で学校の近くまで行き、そこから住宅街へと入り込む。
全く通ったことが無い場所だが、勘を頼りに進んでいく。


テル「あ!」


同じ学校の生徒を発見。
そろそろ学校が近くなってきたようだ。


という事は、先生も出没する可能性があるから気を付けないと…。


こういう時に原チャの音が静かだったらとつくづく思う。
音が大きいのでかなりの確率で見られる。

ちょっとスピードを落として大人しく走ろう…。
早いスピードで走っていても目立つから、とりあえずゆっくり走るだけでも
しないとばれそうだ。


信号に引っかかり、原チャの得意技である側道すり抜けをして前へと出る。
1台抜いて2台抜き、3台目を抜いた時に見覚えのある車が目の前に ( ̄0 ̄;アッ


テル「あかん!数学の前田の車や!!!」

第9話へ

第2章 『没頭』 第9話

信号に引っかかり、原チャの得意技である側道すり抜けをして前へと出る。
1台抜いて2台抜き、3台目を抜いた時に見覚えのある車が目の前に ( ̄0 ̄;アッ


テル「あかん!数学の前田の車や!!!」


ヘルメットはフルフェイスではない。
しかも制服を着ているのでサイドミラーで確認されるとすぐにばれる。

変な動きをしすぎると確認される可能性があるので、そ〜っと後ろへ下がる。


テル「気づくなよ〜」


そうこうしているうちに信号が青になった。


テル「危なかった〜。やっぱり学校が近くなったら危険やなぁ」


せめて私服であればよかったのだが、制服を着ているので非常に目立つ。
次からは少し対策が必要だ。

とにかく裏道を通って学校まで徒歩5分ほどの住宅地に原チャを止める。
盗難が心配だが、芦屋は比較的治安も良いだろうと勝手に決めつけてみる。
目の前に小学校もあるし、人通りもそこそこ多いから大丈夫だろう。


とりあえず足早に学校へと急ぎ、先ほど見つかりそうになった数学の前田の車をわき目に教室へと急ぐ。


マサ「おおお。ギリギリやんけ〜」

テル「うぉ!珍しいやん、今日は社長出勤ちゃうんかいな」

マサ「おお珍しいやろ(笑)たまにはええもんやで」



マサは俺が原チャに乗り始めた頃から急に仲良くなった連れで、なぜか異常に気が合うので最近は一番よく一緒にいる。

マサは原チャに乗らないが、クラブでのパーティを主催したり色々なイベントを企画したりしている。
自分とは違う路線ではあるが、やはり明らかな校則違反をしている仲間だ(笑)


テル「今日は原チャで来たった」

マサ「嘘やん!どこに止めたん?」

テル「小学校の近く」

マサ「あの辺やったら大丈夫やろ」

テル「俺もそう思ってな」

マサ「じゃあ帰りは駅まで送ってや」

テル「おっしゃ、落ちんように頼むで(笑)」

マサ「お前の運転めっちゃ怖いからなぁ〜」

テル「あれでも一応気を使ってんねんで」

マサ「ありえへん…」



同級生「昨日の夜めっちゃうるさかったよなぁ」

テル「あれ?家どのへんやったっけ?」

同級生「住吉らへん」

テル「うしし。その中に俺おったわ」

同級生「えええ!本間に言ってるん?」

テル「おお。なかなか面白いもんやで」

同級生「お前はどんな世界に住んでんねん」



確かに、普通の高校生からすれば全然想像ができないような世界である。
少し前まで自分もそうだったのだ。

考えて見ると、マサのように免疫が付いている奴には話してもいいだろうが
他の普通の高校生には話さないほうが無難のようだ。


寝不足なので、授業中はほとんど意識がなかった…。
あっという間に一日が終わり、マサと一緒に原チャへ向かう。


テル「おったおった!」

マサ「相変わらず派手やなぁ」

テル「かっこいいと言え!」

マサ「はいはい」

テル「そういえばまだチャンバーの音聞いてないやろ!?」

マサ「俺が見たときは付いてなかったかなぁ」

テル「まぁ耳をこらして聞いてみ」



キュルキュル…


原チャ「バイ〜〜〜ン!!!」


アクセル全開状態でエンジンがかかる。
しかもマフラーが無い直管の状態の音だ!!!


テル「???」

マサ「うおっ!なんじゃこれ、めっちゃうるさいぞ」

テル「( ̄△ ̄;)エッ・・?」



慌ててエンジンを切る。


テル「あれ?チャンバー付いてへんやん…」

マサ「なんでいきなりタイヤが回りだしたん?」

テル「いや、分からんけどチャンバーも無いし…」



頭がパニック状態だ。


テル「とりあえずもう一回エンジンかけてみよか」


キュルキュル…


原チャ「バイ〜〜〜ン!!!」

マサ「あかんあかんエンジン止めろ!」


一体何が起こってるんだ…。

第10話へ

第2章 『没頭』 第10話

マサ「めっちゃ直管やんけ…」

テル「おお。チャンバーが盗まれてるなぁ」

マサ「なんでエンジンが勝手に回るん?」

テル「俺が聞きたいわい」


チャンバーは盗まれているしエンジンは勝手に回り始めるしどうしたら良いか全くわからずただ呆然と立ち尽くしていた。

すると突然!


「コルァ〜!!!お前ら何調子乗ってエンジン吹かしとんじゃい!!!」


テル&マサ「!?」


地元?のヤンキー2人が金属バットと木刀片手にこっちに向かって歩いてくる。
片方は背が高く明らかにヤンキーの顔、もう片方は少しヒョロッとしていて背が低い。


どうやら勝手にエンジンがかかってしまっている状況を知らず、エンジンを意識的に吹かしていると勘違いしているようだ。
しかも今はチャンバーを盗まれており、音も爆音だから余計だろう。


テル「ちゃうねん、チャンバー盗まれててなんかエンジンかけたら勝手に…」


と説明している最中に、いきなり木刀で顔面に向かって殴りかかってきた。


テル「ぬおっ!」

ヤンキー「ごちゃごちゃゆうとったら殺すぞ!」


全く何を言っても耳に入らない様子で、とにかく木刀で本気で殴ってくる。
こっちもいきなりの出来事に反撃する余裕すらない。


マサ「いって〜!!!」


あいつは金属バットで殴られている。
俺は木刀やしちょっとマシかな…。


どれくらい時間が経っただろうか、かなり長い時間殴られていた。
小学校の前という事もあり、周りの目はとても怯えた様子でその場から急いで立ち去る。
しかも今は制服を着ているので、下手に手を出して問題になると退学させられる可能性があるので我慢するしかない。


「ボキッ!!!」


木刀が折れた。

普通に考えて、木刀が折れるまで殴り続けるなんてひどい話である。

木刀が使えなくなったので次は素手で殴りかかろうとしてきた。
とりあえずパンチをかわし、


テル「エンジンかけたら勝手に走り出すんじゃ!!!」


と大声で叫んでみた。


ヤンキー「はぁ?意味わからん事言うなボケ!」

テル「こっちだって意味分からんのじゃ!やってみたら分かるわ!!!」



とりあえず我慢も限界にきていた。
マサもかなり我慢しているようだが、流石に顔色が変わってきていたのでそろそろ手を打たないと大問題に発展してしまう。

運良くヤンキーがこっちの話しをようやく掴み、原チャのエンジンをかけてみようという流れになってくれた。


ヤンキー「じゃあエンジンかけてみろや」

テル「おお」



かなり不機嫌だったが、とりあえずエンジンをかけてやった。


原チャ「バイ〜ン!!!」


ヤンキー「うわっ!?本間や、何じゃこれ?」

テル「だから言ったやんけ」


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