第3章 『暴走』 第28話

テル「なんか一気に疲れたわ…」

ヤス「慣れてへんから余計やろ(笑)ええで、こっから俺運転で追いかけるし」


まさに危機一髪であった。
視界にパトカーが見えてからほとんど息を止めているような状態だったので、少し息切れ状態になっているのが分かる。


ヤス「とりあえずあいつら戻ってこんかったらええけどなぁ」

テル「戻ってきたら、それこそ原チャ調べるんちゃう?」

ヤス「確かにそうやな。今のうちに動くか」

テル「おお。なんかたった5分でもここに隠れてる方がやばそうやし」

ヤス「よっしゃ決まりや。ほな溝から原チャ出そか」


数分前に慌てて登ったフェンスを落ち着いて登り、とっさの判断で溝に落とした原チャを二人で持ち上げる。


ヤス「お待たせ…。すまんな、手荒な真似してしもて」


ヤスにも愛車精神のような物があったのか…と余計な事を考えつつ、原チャの後ろに座る。


テル「みんなどの辺走ってるんやろ?」

ヤス「今は2国(国道2号線)を神戸に向かって走ってるはずや」

テル「あれ…? ふと思ってんけど、ヤスがそこまで読めるって事はポリもルート分かってるって事よな?(笑)」

ヤス「ま、そういう事やな(笑)」

テル「な〜んか複雑やな(笑)」

ヤス「そんな細かい事はええねん。ほな向かうで〜」


どこを通るか分かっている警察側と、読まれている事を分かっている暴走側。
逆に読まれている事を踏まえた行動というのも考え方によっては面白い。


ヤス「あれぇ?ここ左行ったらあそこに出れるはずやけどなぁ…」

テル「はあ!? こんなとこまで来ても道覚えてんの???」

ヤス「当たり前やんけ。道は全部つながってるんじゃ」

ヤス「あっ、そうやそうや。ここはあそこにつながってるからこっちやな」

テル「(変態め…)」


テル「あれ?そういえば2国走って追いかけへんの?」

ヤス「下手したら挟まれるかもしれんから、裏道で先回りする」

テル「ヤスにしかできんわそれ(笑)」

ヤス「あほか、基本じゃ」


テル「あっ!?」

ヤス「聞こえてきたな。もうすぐや」

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第3章 『暴走』 第27話

ヤス「まじか…」

テル「あっ…」


まだ全体像は見えないが、数百メートル先から赤色灯がくるくると回りながら、ゆっくりとこちらへ進んできた。


ヤス「下手に動いたらばれるから、あいつらが原チャに気付いて更に俺らに気付いたらダッシュすんぞ」

テル「どこにむかって???」

ヤス「答えなんか無いわw でも後ろ左右に散るぞ」

テル「あえて?」

ヤス「それである意味二分の一の確率や」

テル「しびれるなぁw」


少しずつパトカーが近づいてくる。
あとは運を天に任せる他ない。


ヤス「さっきのやつらと同じやったら終わりや。確実に原チャに気付く」

テル「とりあえずどこに走るか考えとこ…」

ヤス「二分の一ってさっき言ったけど、見つかったらまぁ終わりやw」

テル「いや、逃げ切る」

ヤス「さぁ吉と出るか凶と出るか」


早ければそろそろ原チャを認識できそうな距離まで近づいて来ている。



「たのむっ!」



暗闇に強烈な光を放つ赤色灯が目にこれでもかと言う程飛び込んでくる。



「たのむっ!!!!!」



テル「あっ…」

ヤス「ちっ。減速しやがったな」


原チャの手前でパトカーが減速をはじめてしまった。

最終手段に出るしかない、そう思ったその時だった。


ヤス「っしゃ!」

テル「うおっ!?」


確かに減速はしていたが、停止することなく通り過ぎたのだ。


テル「奇跡やっ(涙)」

ヤス「たぶんさっきの奴らと違うんやろな。でも溝に原チャ捨ててあるのに調べへんとか意味不明やな(笑)」

テル「変な汗いっぱい出たし…」

ヤス「とりあえずこのまま5分くらい待機して、みんなと合流するか」


そう、みんなとはぐれてしまい、さらに逃げ通す事に夢中になって忘れてしまっていたが、今は追悼暴走の最中なのだ。


テル「なんか一気に疲れたわ…」

ヤス「慣れてへんから余計やろ(笑)ええで、こっから俺運転で追いかけるし」

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第3章 『暴走』 第26話

左にまがった道は街灯がほとんどない真っ暗な細い道だった。
この先、いつ行き止まりになるかも全く見当がつかない。


ヤス「あっ、あそこに空き地っぽいのがあるやん!」

テル「あの草のとこか?」

ヤス「そや!あいつらがこっち来る前に、この辺で原チャ隠して一気に走って、フェンス登って草の中隠れるぞ!」

テル「そういう感じ!?」

ヤス「もうそれしかない!」


隠すと言ったってそれほど都合よく原チャが隠れるような場所などない。


ヤス「没収覚悟で溝に捨てる!」

テル「まじっ!?」

ヤス「名残惜しんでる場合ちゃうわ!捕まったらどうせ没収じゃ」

テル「と…とりあえずどうすんねん」

ヤス「エンジン切れっ!」


言われるがままにエンジンを切り、唯一の明かりであった原チャのライトが消えた。
辺りは一面真っ暗になり、息を飲むほどの静けさを感じる。


ヤス「とりあえず貸せっ!」


停止した原チャをヤスが押し始め、おもむろに溝へと落とした。


テル「あっ!?キーは抜き忘れてんで!!!」

ヤス「わざとじゃ!家の前に鍵付けて置いてたら盗まれたって言えるやろ」


こんな時までどこまで冷静な対処ができるんだと感心したのも束の間。


ヤス「次は俺らが隠れるぞっ!」

といったと同時に、ヤスがフェンスに飛びついて登り始めた。
テルも無心でフェンスを登り、向こう側の草むらへと降り立った。

ここ最近、誰も足を踏み入れていないんだろうと容易に想像がつくほど雑草が生い茂り、身を隠すにはこれ以上ないほどの環境であった。

ちなみにここからは当分、聞こえるか聞こえないか程度の声で会話している。


ヤス「とりあえず15分待つか…」

テル「なんで15分なん?」

ヤス「それ以上あいつらは探さへんからや」

テル「そんなもんでやめるん?」

ヤス「まだみんな走ってるから、そっちの追跡を放置するわけにはいかんしな」

テル「でもこの辺におるってばれたら徹底的に探すやろ?」

ヤス「時間が経てば経つほどどこまで逃げたか分からんくなるし、パッツンが入れへん所やと車から降りなあかんから、あんまり積極的には来れへん」

テル「じゃあこっから15分が勝負ってことか」

ヤス「祈れ。」


風が吹くと雑草がざわめく音が聞こえる。
最近はとにかく遊び通している事もあり、冷静に夜風を感じる事もなかった。
これだけ緊迫している状況にも関わらず、なぜか心地よく感じてしまう。


テル「来〜へんなぁ」

ヤス「来たら終わりやと思え」


かなり遠くの方で単車の音がかすかに聞こえる。
みんなは自分達がこういう状況に置かれているかもしれないと少しくらいは気にしてくれているのだろうか。
とにかくこの場をやり過ごし、早く再合流したいと感じていた。


ヤス「まじか…」

テル「あっ…」


まだ全体像は見えないが、数百メートル先から赤色灯がくるくると回りながら、ゆっくりとこちらへ進んできた。

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第3章 『暴走』 第25話

ヤス「あかんっ!!!」


一瞬の隙をついて、パトカー1台が前に抜けだした。


テル「うわっ!?」


すぐに車体を横に向けて急停止し、進路を塞ぐと同時に警察官が一気にパトカーから降りはじめる。


ヤス「よけろぉぉぉぉ!」

テル「うぉぉぉぉ!」


全てのドアが開き、飛び出してきた警察官が原チャに飛びつこうとしている脇を間一髪左にかわした!

左側車線で何とか体勢を整える。


ヤス「ホッとしてる間はないで、次も来よるっ!」

テル「おう!」


残りの二台が引き続き前に出ようと、右側を加速してきている。


ヤス「テル右やっ!!!」


ヤスが後部座席から右側に体重をかけ、合わせてテルも右側へバイクを寝かしこむ!
思った以上にリカバリーが早かったのか、パトカーが慌てて急ブレーキを踏んだ。


拡声器「くぉらおまえらぁっ!ええかげんに止まらんかいっ!」


まるで謝罪会見を行なっている芸能人のように、カメラのフラッシュが止まらない。
すぐにさっき停車していたパトカーも追い付いてくる。


ヤス「もうすぐ橋が終わるはずや!」

テル「終わったらどうすんねん!?」

ヤス「とりあえず左に曲がるとこあるから、直進すると思わせて一気に左に入るぞ」

テル「分かった、フェイントな」


右をガードしたら左から一台前に出られ、そのたびに前で待ち構えているパトカーを避けて次に備える。

時間的に数分だったと思うが、1時間以上の攻防を行なっているように感じるほど、凄まじい駆け引き。


ヤス「見えたあそこやっ!直前まで左を見んなよっ!」

テル「気が付いてないフリな」


橋の終盤は若干の下り坂になっており、速度が出ない原チャにとって非常にありがたい環境だ。
少しずつ車速が上がっていき、ようやく60km/hほどに達したその時だった。


ヤス「ブレーキ無しで曲がれぇ〜!!!」

テル「うおぉぉぉぉぉぉ!!!」


二人の体重と旋回Gが原チャにかかり、車体が限界まで沈み込んでいるのが分かる。
さらにサイドスタンドが路面と接触し、聞いた事がないようなギャー音が鳴っている…。


テル「こける〜!!!」

ヤス「気合いじゃボケ〜!」


不意をつかれたのか、パトカーは同じく左に曲がろうとしたが連携が取れず、一旦減速しているようだ。


左にまがった道は街灯がほとんどない真っ暗な細い道だった。
この先、いつ行き止まりになるかも全く見当がつかない。


ヤス「あっ、あそこに空き地っぽいのがあるやん!」

テル「あの草のとこか?」

ヤス「そや!あいつらがこっち来る前に、この辺で原チャ隠して一気に走って、フェンス登って草の中隠れるぞ!」

テル「そういう感じ!?」

ヤス「もうそれしかない!」

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第3章 『暴走』 第24話

ヤス「ちっ。また来たな…」

テル「あ…いつの間に」


存在感を完全に消していたようだ。

3台がピッタリと集団の後ろに付いている。


ヤス「さぁケツ持ち部隊のお仕事しにいきますか〜」

テル「俺が運転か〜」


「一気にまくぞ〜!!!」


どこからともなく聞こえたかと思うと、単車が一気に加速をはじめた。


ヤス「こっから当分、脇道がない橋に入るから、みんなが離れるまでケツ持ちや」

テル「なるほど、俺らがおったら前に出れへんからやな」

ヤス「とにかく前に出られんかったら何とでもなる。原チャが4台おるから余裕やろ」

テル「取りあえず邪魔しといたらええんやな」


そうこうしているうちに片側3車線の大きな道路に入り、今まで静かに追従していたパトカーが一斉にサイレンを鳴らし、原チャの間を通り抜けようという激しい動きへと変わった。


ヤス「俺が後ろ向きながらパッツンに合わせて原チャコントロールするから、周りの原チャ連中との距離感とか見とけよ」

テル「はいよっ」


さすがに脇道がない3車線とは言え、原チャ4台が横一列に並んでいるとパトカーは前に出られない。
パトカー1台あたり最低3人は警察官が乗り込んでいるようで、窓から身を乗り出して写真を撮ったり何かを叫んだりしている。
拡声器を使ってかなりの暴言も吐いているが、それらの声に反応する訳もなく、淡々と前方の単車軍団が離れていくのを待つ。

しかしその時からテルは、ちょっとした異変を感じていた。


テル「なんかパワー感が無くなってるような気がすんねんけど」

ヤス「なんて?あんまり聞こえへん」

テル「気のせいかな…」


色々と改造しているヤスの原チャにとって40km/h程度は全然余裕がある速度なのだが、いつもよりアクセルを多く開いている気がする。

橋の真ん中あたりまで進んだ所で、他の原チャ軍団が前方に向かって右手を振っている。


ヤス「ケツ持ち終了や。あいつらも加速しはじめるから、パッツンに前に出られん程度に加速して付いていけよ」

テル「お、おう…」


原チャ軍団もヤスと同じようにそれなりに改造しているため、軽く60km/hを超える速度まで加速を始めた。
テルも同じように加速をしようとアクセル全開にしたが、やはりいつもの加速感が無い。


ヤス「おい遊びは終わりやっ!!!はやく付いていけって!」

テル「ちゃうねん、全開にしてるんやって(汗)」

ヤス「うそやん!?」


何かおかしいと感じたのか、ここぞとばかりにパトカーが隙間を狙って加速してきた。


ヤス「そうはさせるかボケ〜!」


右の隙間を狙ってきたら原チャを一気に右へ振り、そのせいで手薄になる左側を次の一台が狙ってくるので慌てて左へ振り、たった数十秒のやり取りが異様に長く感じた。

こちらの異変を察知してくれたのか、先行していた原チャ軍団の2台が速度を落として合流した。かに見えた…。


「お前ら遊んどったらパクられる(捕まる)ぞ〜(笑)」


と言い残し、またすぐに加速して離れていく。


テル「ちゃうんです、全開にしてるけど速度出なくて…」


テルの声は届かず、原チャ1台VSパトカー3台の構図は継続となった。

っとその時だった。


ヤス「あかんっ!!!」


一瞬の隙をついて、パトカー1台が前に抜けだした。


テル「うわっ!?」


すぐに車体を横に向けて急停止し、進路を塞ぐと同時に警察官が一気に降パトカーから降りはじめる。


ヤス「よけろぉぉぉぉ!」

テル「うぉぉぉぉ!」

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第3章 『暴走』 第23話

ヤス「興味あると思うけど、必要以上に見すぎんなよ」

テル「お、おう…」


グォンウォンウォン…


追悼という事もあってこちらも相当な集団だが、相手も負けじと大集団である事がすぐに分かった。
そしてお互いがすれ違うタイミングで、お互いがあまり見合わずに通り過ぎようとしている感じがみえた。
何か獰猛な動物がお互いをけん制し合っているかのような異様な雰囲気である。
とは言っても気になるので、相手をチラチラ見てみる。


テル「ごっつい台数やな…。向こうも追悼とか?」

ヤス「いや、大阪は規模が全然ちゃうねん。しかも金の掛け方も半端ない」

テル「それでか!なんか三段シート多いし、これぞ暴走族って感じがするなぁ」

ヤス「単車だけちゃうで。なんか分からんけど、本気でぶっ飛んでる奴が多い(笑)」

テル「漫画みたいな?(笑)」

ヤス「何なんやろうな〜。なんせ狂ってるわ。でもお前がコールあおったコウイチ君も相当狂ってるで」

テル「お、おう…。ちなみにケンタ君はどんな人なん?」

ヤス「実はなぁ、俺の兄貴と仲いいんやわ。だから俺の事もよくしてくれてる」

テル「ええっ!?それは初耳や…」

ヤス「直接は見た事ないけど、こんな集団で頭はってる訳やから、どえらい強いみたいやで」

テル「ん〜、見た目でもう絶対勝てへんって思う(笑)」

ヤス「俺は負けへんけどな」

テル「はいはい」

ヤス「やってもないのに負けるか分からんやんけ」

テル「いやいや、やる前からこれはやったらあかん人やって分かるやん(笑)」

ヤス「いや、俺は絶対負けへん」


お互いがゆっくり走っている事もあり、全数とすれ違うのに約1分ほどを要した。


テル「あああ。なんかすごい空気感やったなぁ…」

ヤス「こういう時はなぁ、テンション上がりすぎたあんまり知らんアホが喧嘩吹っ掛けて大乱闘になるねん」

テル「なるほどね…。全体の意思を理解してない、それこそ暴走モードか」

ヤス「相手もそういうの分かってるから、何となく変な空気が流れるわけや」

テル「なんか漫画とかやったら同盟?とか敵対とかあるやん。そんなんはないん?」

ヤス「ある程度はあるみたいやけど、別に地域を制覇しようとしてるわけちゃうし、意外と聞かへんな〜」

テル「そっか、ヤスは自称走り屋やもんな(笑)」

ヤス「そうじゃっ。走り屋に暴走族の事聞くなっ!」


当初のドキドキはすでに無くなり、完全にその場の空気に馴染んでいた。
イメージ通りの事もあったが、そうではない事もたくさんあり、このまま楽しい気分で神戸へ折り返して解散するんだろう。
テルは疑う事もなくそう思っていた。

しかし事態は急変する事になる。


ヤス「そろそろ橋渡って、そっから2号線に上がって折り返す感じや」

テル「ほうほう。2号線ってあんまり音響かへんよなぁ」

ヤス「まぁそれはそうやけど、ギャラリーとかいっぱい出てくるから別の意味でおもろいで〜」

テル「なんかそれ楽しみ!」

ヤス「ちっ。また来たな…」

テル「あ…いつの間に」


存在感を完全に消していたようだ。

3台がピッタリと集団の後ろに付いている。


ヤス「さぁケツ持ち部隊のお仕事しにいきますか〜」

テル「俺が運転か〜」

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第3章 『暴走』 第22話

ヴァンヴァヴァヴヴァヴァヴァヴヴァヴァヴヴァヴァ…。


テル「はやっ!!!」

ヤス「相変わらずあれだけは真似できん…」


グゥオーングゥオンウォンウォン!!!


テル「えっ!?」


マサミチの超速コールの音が一気にかき消されるほどの大轟音と共に、突如後方から紫メタリックの車が集団の中に突っ込んできた。


テル「うわっ、やばいの来たっ!!!」

ヤス「ちゃうちゃう。あれは身内の人や」


あまりの勢いに圧倒されそうになったが、かき消されまいと必死にコールをしているマサミチの真横で車は並走をはじめた。と同時に、真っ黒なスモークが施されている車の後部ガラスがゆっくりと開き、中からいかにも!といった感じの女の子が身を乗り出しはじめた。


「マッサミチ〜♪」


3人ほどの女の子が乗っているように見えたが、何かマサミチと会話をしているようだ。
さらに車内からはフラッシュが見えたので、きっと記念写真?でも撮っているのだろう。

と思ったら、また大轟音を立てながら車は集団の前方の方へ走り去った。


テル「なんじゃあれ?」

ヤス「ま、よくある光景や(笑)」

テル「でもああいうのに乗ってる子って、かわいい子多いのは何でやろか?(笑)」

ヤス「ん〜、女の子は強い男に惹かれるって事なんかな?」

テル「それはそうやろうけど、この集団に限ってはちょっと違うような気がするけど?」

ヤス「ま、かわいかったら何でもええやんけ」

テル「とりあえず、マサミチは有名って事やな」

ヤス「おお、むかつくけどな(笑)」


その後も衰えることなくマサミチのコールは続く。

それに合わせて周りの単車も続々とコールを被せていき、43号線から放たれる音は町中に響き渡っている事が容易に分かった。


テル「ほんますごいなぁ、こういうの見たら単車で来たくなるなぁ」

ヤス「ま、全体の流れとか知ってからや」

テル「あと運転技術(笑)」

ヤス「それは六甲で鍛えるべし」


ちょうど西宮を抜け、尼崎に入った所だった。


ケンタ「お前ら、喧嘩売るなよ!!!」


急に大声で周囲にそう叫び、伝言ゲームのように全体にその意思は伝わった。


テル「どうしたん?」

ヤス「多分、大阪の暴ヤンが対向車線におるからやわ。前の方見てみ?」

テル「う〜わっ!? 一体何台おんねん…。」


中央分離帯を挟んだ対向車線の先に、明らかに大集団だと分かる光の帯が見える。
そしてそこから放たれている轟音も少しずつ近づいてきているのが分かった。


ヤス「今日は追悼やから、変なもめごとは絶対に禁止や」

テル「なんか漫画やったら一悶着ありそうなシチュエーションやな(笑)」

ヤス「この人数で揉めたら、取りあえず死人でるで」

テル「おいおい…」

ヤス「それを分かってるから、ケンタ君は釘刺してるねん」


そうこうしている間に、光の帯が単車の集団である事が明確に分かるほどの距離になっていた。


ヤス「興味あると思うけど、必要以上に見すぎんなよ」

テル「お、おう…」


グォンウォンウォン…

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第3章 『暴走』 第21話

 ヤス「よっしゃあ、めっちゃ興奮してきた〜!!!」

急にヤスが後ろで踊り始めた。


テル「おいおい、そんな暴れたら運転難しいって!」

ヤス「あほか、これが楽しいんやんけ♪」


ヤスだけかと思ったら、周りの単車も含めて後ろに座っているみんなが踊っている。


テル「ほんま祭りみたいやな(笑)」

ヤス「お前も直進ばっかりじゃなくて、道路の幅いっぱいに使って蛇行するんじゃあ」


蛇行運転と言えば、一度ヤスが自分の前でやっているのを見た事があるが、原チャを傾ける毎に折りたたまれているセンタースタンドがアスファルトと接触して火花が出ていたような…。


テル「いやいや、あんな火花出るような運転したらこけてまうって!」

ヤス「あほか、いきなりあんなレベル求めてへんわっ(笑)」

テル「とりあえずクネクネしといたらいいんか?」

ヤス「おお。それに合わせて俺が後ろからもっと倒すようにコントロールするから」

テル「はぁっ!?なんかそれはそれで怖いって(笑)」

ヤス「ええからはよやらんかいっ!」


取りあえず思うがまま、原チャを左右に振りながら蛇行運転を始めると…


ヤス「変に逆らうなよ〜!」

テル「うわっ!?」


言葉通り、ヤスが後ろから原チャがもっと倒れるように体重をかぶせてきた。


ヤス「もっと左右に振るペース上げてみ〜」

テル「もっと!?」


言われるがままであったが、みるみる原チャが倒れる角度が凄い事になってきた。


ヤス「こいつはセンタースタンド取ってるから実感無いと思うけど、付いとったらとっくに火花レベルやで〜」

テル「いや、この角度はまじでやばいわ(笑)」

ヤス「これくらいやらんと面白くないやろ〜!」


マサミチ「おお〜、テルも気合い入っとうやんけ〜♪」

テル「ちゃうちゃう、後ろでヤスが暴れてるだけや(笑)」

ヤス「おうマサミチ!はよ自慢のコールしたらんかいっ」


コールというのはアクセルとクラッチ、シフトチェンジなどを活用して排気音で音楽のような物を奏でる事で、人それぞれの好みや癖、得意なパターンがある。(テルが大好きだった特攻の拓という漫画では、アクセルミュージックと表現されていた)
その中でもマサミチはアクセル開閉の早さが特徴であった。


テル「そういえばマサミチが本気で吹かしてるの聞いた事ないかも」

マサミチ「うわっ、そんなん言われたらやるしか無いやん(笑)」

ヤス「当たり前やんけっ(笑)」

マサミチ「ほなちょっくら行ってきまっさ〜」

テル「たのんますっ!」


ヴァンヴァンヴォ〜ッ!!!


およそ集団のど真ん中と思われる場所まで颯爽とマサミチは移動した。


テル「すげえ、ど真ん中にポジショニング(笑)」

ヤス「あいつはうまいから誰も文句言わへんねん」


ヴァンヴァヴァヴヴァヴァヴァヴヴァヴァヴヴァヴァ…。


テル「はやっ!!!」

ヤス「相変わらずあれだけは真似できん…」


グゥオーングゥオンウォンウォン!!!


テル「えっ!?」

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第3章 『暴走』 第20話

辺りは真っ暗で、僅かな街灯だけで照らされている人気のない公園。
そこで一気に轟音が街中に響き渡る様は、何か巨大な怪獣が目覚めたように感じる。

全身にゾクゾクっと電気が走った。

そしてテルはなぜかニヤニヤが止まらなかった。

ヤス「乗ったか〜?」

テル「あいよっ」

ヤス「ほな第二弾いきましょか〜」

テル「いきましょか〜」


集団に遅れないように急いで公園の出口を通過した時であった。


ヤス「あっ!?」

テル「ん?」

ヤス「ちょっとあれ拾ってくるから原チャ持っといて」

テル「え、何?」

ヤス「ええから原チャ支えといてくれ」

テル「お、おう…」


訳も分からないまま、ヤスは再び公園の中に一人で走っていった。

ヤスの動向を見ながら取りあえず原チャの前に座って待機していると、何か棒のような物を拾った様子が見えた。

再びダッシュで帰ってきたヤスは、そのまま原チャの後ろに座ったのである。


テル「えっ?」

ヤス「ええよ、出て!」

テル「あれ?俺が運転するん?」

ヤス「行けるやろ!これもあるし(笑)」


よく見てみると、それは1mほどの細いパイプであった。


テル「それと俺が運転するのと何が関係あんねん」

ヤス「ま、使う機会が無いに越した事はないけど、とにかく付いてけ」

テル「はいはい」


武者震いと言うか、寒さもあったのだが、普通に原チャを二人乗りしているだけで腕が小刻みに震えていた。

まさかこの状況下で自分が運転する事になろうとは…。


ヤス「あれだけ集団でおったら、取り残されることさえ無ければ余裕や」

テル「そんなもんかねぇ…。で、そのパイプは何なん???」

ヤス「喧嘩で使うんちゃうで。これでパッツンの邪魔するんや」

テル「てっきり喧嘩に使うんかと思ったわ(笑)」

ヤス「これってかなり使えるねんで。喧嘩でも使えるけどな(笑)」


再び国道43号線に出ようとする手前で、ようやく集団に合流することができた。

合流地点は細い路地であったが、そこからゾクゾクと単車が国道に流れ出ていく様は体の底から何か込み上げてくるほどの光景である。


ヤス「よっしゃあ、めっちゃ興奮してきた〜!!!」

急にヤスが後ろで踊り始めた。


テル「おいおい、そんな暴れたら運転難しいって!」

ヤス「あほか、これが楽しいんやんけ♪」


ヤスだけかと思ったら、周りの単車も含めて後ろに座っているみんなが踊っている。


テル「ほんま祭りみたいやな(笑)」

ヤス「お前も直進ばっかりじゃなくて、道路の幅いっぱいに使って蛇行するんじゃあ」

第3章 『暴走』 第19話

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ヤス「取りあえず手押しで外まで出ると思うから、遅れんように原チャまで戻るで」

テル「うわ〜、もっと見たかったのになぁ〜」

ヤス「しゃあないやん、あの単車あのままにして作業終了や」

テル「いやだから、続き見てみたいやん♪」

マサミチ「そんなに単車好きやったら、バイク屋見学したらええやん(笑)」

テル「なるほどぅ!!!」

今考えれば当たり前の話しだが、全く思いつかなかったのだ。
実際に修理で持ち込もうと思うとお金も掛かるので、基本的には縁がない場所だと思っていたが…。
見学なら普通に受け入れてもらえそうだ。

テル「マサミチ!それめっちゃいい!」

マサミチ「いや、普通やって(笑)」

ヤス「どうせやったら六甲で走り屋やってる人がおる店を紹介したるわ」

テル「まじ〜!あかん、めっちゃ楽しみや〜」

ヤス「それより今は暴走を楽しまんかい!」

テル「ですよね〜」

マサミチ「ほな後でな」

テル「捕まんなよ〜」

ヤス「お前に言われたくないわっ」

マサミチ「お前もな(笑)」


テルとヤスが原チャに到着する前、一斉に単車のエンジン音が響き渡った。


ヤス「うおっ、手押しじゃなくてそのままエンジン掛けてるやんっ!」

テル「うわ、これは置いていかれるパターンやん!」

ヤス「ダッシュ!!!」


辺りは真っ暗で、僅かな街灯だけで照らされている人気のない公園。
そこで一気に轟音が街中に響き渡る様は、何か巨大な怪獣が目覚めたように感じる。

全身にゾクゾクっと電気が走った。

そしてテルはなぜかニヤニヤが止まらなかった。

ヤス「乗ったか〜?」

テル「あいよっ」

ヤス「ほな第二弾いきましょか〜」

テル「いきましょか〜」


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